■読者のページ〜2002年5月〜
“ 絵本を読む会(金曜絵本の会)” 2002.4.19 会留府に於て

今日は、月に1度の絵本の会です。年に2回程度の割合いで国内の絵本画家を囲んで会員のみの座談会をやっています。今回はこいでやすこさん(福島出身)をお迎えしての、楽しくてちょっと得した気分になった会のご報告をさせて頂きます。

★はじめに
当日は、会員とこいでさんを入れても15人程でいささか寂しい気もしましたがところがどうして!!これがかえって良かったようにも思いました。なぜなら優しい笑顔と穏やかな口調のこいでさんを、構えることなくとっても身近に感じることができたからです。これが、私を得した気持ちにさせてくれた一つ目の要素です。私は、以前に別 の会でこいでさんのお話を聞かせて頂いたことがあるのですが、その時とは違って今回は会員のみんなの質問にこいでさんが応えていく……というかたち進行していって、でそこから広がる話(エピソードや打ち明け話)がとっても面 白かったです。それから15年前に描かれた『ゆきのひのゆうびんやさん』の原画を持ってきてくださって、絵本と照らし合わせて見ながらの、ご本人の解説や『おおさむこさむ』のラフ案?といっていいのでしょうか?そんなものも見せて頂いたり(直に触って見ちゃいました!)“今日は来たかいがあった!”と心から思ってしまいました。

最初のこいでさんの印象は、おとなしい感じの人……というものでした。お店に入って来られた時もとっても緊張しているみたいでした。けど、阿部さん(会留府の店主)がとっても聞き上手で、質問して、いろんな話をする中で冗談なんかも言って盛り上がりました。気がついたら予定の時間を過ぎていて、あっという間の時間でした。以下は私が書きとめた内容です。話がとんでわかりにくいところもあるでしょうが、まあ……ご勘弁ください。m(__)m
★絵本画家になるまで
初めは商業デザインの仕事に就いてウィンドウのディスプレーなどをしていらしたそうです。それから出版社に転職して雑誌『カーグラフィック』のレイアウターをしていたそうですが、自動車に全く興味がなくてデザイン事務所に転職してポスターやカタログなどを作っていたそうです。けど、どこか満たされる感じがなかった……とおっしゃっていました。

けど、クリスマス近いある日、ポインセチアをみていてどこかで こんな感じの……けどもっと淡い色の……もっとスウっとしてる……花があったなあ……って思って子どもの頃の記憶を紐解いていくと、それが“もみじあおい”という花だとわかった瞬間になぜか子どもの頃に、お兄さんの持っていた絵本(キンダーブック)などが鮮明に蘇ってきて、“自分は絵本が描きたいんだ!”ってひらめきみたいな感じで思いたったそうです。

デザイン事務所にいた頃には、アサヒの小冊子の料理本の表紙を任せれて自由に描けたけど、表紙だから1枚きりの絵でどんなにストーリー性があっても限界がある……と感じたけど、絵本はめくっていってお話に膨らみがもてるところがいい……。とも話されていました。

また、大人になってからも絵本を屏風のようにして頭元に飾って寝たりすることもあったそうです。子どもの頃には、お母さんに抱かれて自分はしっかり安心した場所を作ってから『母をたずねて3千里』を読んでもらうのが大好きで“この子はかわいそうだけど、私はよかったわ〜!”みたいに感じるのも好きだったそうです。子どもの頃は戦時中でお兄さんのキンダーブックでおさないりゅう、はつやましげる、たけいたけおの絵本などを見ていたそうです。タイトルがさだかでないらしいですが『山からきたくまさん』?が好きで、小さい時にこういった絵本に接することができたから、今がある。とはっきりおっしゃっていました。
★デビュー作品
『ぼくもとびたい』金の星社、『はらぺこねこ』学研(月刊誌)編集者にいわれるままに描いたため思ってもいない作品となってしまい、とってもハズカシイ!!と赤面 していらして……けど私はかえってその本が是非見たい!!という衝動に駆られてしまいました。その他にイラストも描いていて、そんな時に福音館から“こどものやかた”(私はこれが何かしりません……(*_*;)というのがあって、ご主人のこいでたんさんが、そこで文を書くことになりそれならと、やすこさんが絵を担当することになったそうです。

当初から福音館という会社は、出版されるまでに時間がかかるところで何度もダメだしがあり、ご夫婦で“お互い才能ないねぇ……”といいながら肩を落としてガックリして歩いたのを覚えてます。と微笑みながら話してくださいました。それからナンセンス絵本を描こうと思い『ナガナガミミズ』?体がどんどん伸びてそれでなわとびしたりもする話……?(すいません。聞き逃しましたm(__)m)編集者もウケテ笑っていたからいいかなあ?と思ったらボツだった……といってました。

そんな時に征矢清さんから起承転結のはっきりしたお話がいい。というアドバイスをもらって描いたのが『とんとんとめてくださいな』っで今までの絵本の中で一番印象深く力作といえる……ともおっしゃっていました。その後に松居直さんの『絵本とは何か』を読んで絵本を制作する上でとっても参考になったそうです。その後、ご主人を亡くされましたが、原稿があったのでそれに絵を描いて出版した絵本が『ゆきのひのゆうびんやさん』と『はるですはるのおおそうじ』登場人物に小動物を使っているのはどうして?の質問に特に理由はないけど、ねずみに関してはちょっとのぞいてみたい世界……とおっしゃっていました。けど、実際にでてきたら「きゃあ〜!」ってなるとか?!
★絵本の作り方・こいでさんの場合
1:言葉が浮かんだら……思いついたら……どんどんメモに書く

2:A4くらいの1枚の上質紙に全ページの大まかなカット割りと文字を書く

3:実物大の絵本をえんぴつ書きで作成 、そこで、“です。”“でした。”などや言葉の言い回しの手直しや絵の感じをみる。必要なら色をつけてみたりもする。ペーパーブックがハードになる時は出版社から連絡があって、月号の数字の色、文章を直したり、見返しなどの色も作家が決めたりするのだそうです。

動物などを描く時は……1、テレビをビデオに撮って一時停止して描く。2、写 真集。3、動物園に行く。しっかり描くのもいいが、ぱっとみて目に焼きついたものを描くのも好きなのだとか……。

1冊の絵本ができるまで1年くらいかけていて、同時進行して絵本を描くことはしない。最低でも6ヶ月は必要なため、周りからどうやって生活しているのか?といわれている……とまるで他人ごとのように穏やかに笑っていらっしゃいました。

自分で文章を書いて自分で絵を描くことが多く、色をつけてからは書き直しをしたことがないそうです。以前は夜中も仕事をしたが、今は目が悪いので昼間しか絵は描かないけれど、絵を描く時は一気に描いて書き上げてしまうのだそうです。でも1週間くらいして、その絵をみると悪いというか、気になる箇所が必ず見えてきてさらに書き足したりするそうです。苦手と描きたくないという気持ちは違っていて人物を描くのは苦手なので動物を主人公にすることが多いけどやはり人物を描きたいきもちはある。そこで姪っ子をモデルに年少版のこどものともを描いた。

なっちゃんのシリーズ『むんむんあついひ』『かさかしてあげる』 モデルになった子もなっちゃんという子で“なっちゃん”という響きもよくてそのまま拝借。本人は現在は小学校2年?でしゃいな子なので自分がモデルの本を嬉しそうに微笑んでみてくれたそうです。けど、お話のエピソードは大抵自分自身の子どもの頃の体験が元になっているそうです。『むんむんあついひ』花ジュースは本当に花びらを絞って色がつくか実験したそうです。観察や実験はよくされているのかもしれない……と感じました。

そんな話をお聞きする中で、自分は女だからいいけど、男性の絵描きさんは、今は子どもを描きたくても観察しようと公園などに行ってみていると、怪しい人と間違えられるからとっても困る……といっているそうです。切実〜!!っと私が思っていると、「でも私は女ですから……いいんです……けど……フフフフフッ」って笑っていらしたのが印象的でした。
★これから……その他
Q:こいでさんの好きな画家さんは?

A:
谷内六郎(昔の週間新潮の表紙)1枚の絵にストーリーがあって大好き!!
ポター、エッツも大好き!!
絵本を描いている意識は当然あるが、子どもの本を 描いてるという意識はないので、子どもからの手紙は思いがけずとっても嬉しい!!
『青い目のこねこ』(絵物語)が大好きでこんな本を作りたいと思い挑戦したが、失敗してしまった。私にはムズカシイ……と言ってました。
以前は、アクリル絵の具なのども使ったこともあったが今は水彩 と色エンピツが好きでそれを使用している。
福音館はわりとナンデモアリ!というところがあるけど、他の出版社は、冒険させてくれない。けど、自分としては今あるパターンの絵本ではなくて新しいことにチャレンジしたいと思っているようでした。
★最後に思いがけず、逆にこいでさんから私達に質問がありました
「どんな作品をご希望ですか?」私はボツになったというナンセンス絵本と失敗したという絵物語(絵のある読み物)に挑戦してほしい!!といいました。

それから『クレーン男』『タイコタタキの夢』この本が大好きだったのに今は装丁ががらりと変わっていて、これではこの本の良さが伝わらない……ってガッカリされていました。他にもインパクトがキレイで買った絵本に限って何年か経ってその絵本を見ると、この本のどこが良かったのか……?と後悔することが多いとも話されていました。

原画は原寸か1〜2倍で描いているそうで、絵本よりも色が淡い色調でした。絵本は版を重ねることに黒くなっていくのだそうです。けど、以前に比べればそんなに色の差がなくなってきた……ともおっしゃっていました。以前には、“どうしちゃったの???”っという程色合いが変わってしまったこともあったそうです。

原画は動物達のとっても柔らかそうな毛並みやあったかそうなお家……木や雪のふうあいみたいなのもが感じられる程にきれいな絵でした。絵本よりも50倍くらい原画の方がいい!!と私は思ってしまいました。などなど……質問もお話も尽きることのない会でした。小出さんの絵本には、いつもたくさんのおいしそうなお料理がでてきますが、今回は、“おなかいっぱい、おいしいものを食べた”そんな満足感いっぱいのひと時でした。

(Mrs.Bianca)