
■読者のページ〜2001年4月〜
うららかな春の陽気のこの日、千葉市中央図書館のオープニングイベント第一弾として表題の林望さんの講演会が開催されました。 書誌学を研究され、30年もの間、大学で教鞭を取られ、多くの著書もお書きになっている林氏の話は実に含蓄があるものでした。 日本の読書の歴史、「活字離れ」ということが叫ばれて久しいけれど実際はそうではないこと、現代の国語の授業事情、「そもそも読書とは?」という根本的な話、そして現在の図書館事情、図書館及び読者に望むことなど、活字好きにはなかなか興味深い話題がつきない1時間半でした。 充実した内容でしたので、かいつまんで話しても長くなってしまいそうですが、とりあえず、少し当日のお話から……。 「読書とは娯楽である。そして、読書の楽しみは五感に訴えるものである。がしかし、国語の授業というものは読書の楽しみを与えてしかるべきものなのに、奪っていっている」なるほど、と思う。そして林氏は、英国の国語の教師にして俳優である、ダニエル・ペナック氏の「奔放な読書」という著書を紹介し、またペナック氏の授業についても話してくださった。 ペナック氏は、それまでの国語の授業ではさっぱり面白くなく、これでは学生の活字離れも当然だ……と思い、あるとき、ひたすら自分が面白い!と感じた本を生徒に音読して聞かせたそうなのだ。時速8ページ、年間3千ページ!……それをきっかけにして、本を読むようになった生徒、楽しみに目覚めた子ども達が増えた、という話はとても印象的でした。 「奔放な読書」の中に読者の権利10ケ条というものが記されている、ぜんぶについてお話くださったけれど、その中の「黙っている権利」というのはとても納得!自分が大して感動も楽しさも感じなかった本について感想を述べなけばならないのはとても苦痛……そうだそうだ、だから「必読図書」も「課題図書」も嫌いで嫌いで、大人になってから読んであぁ〜もっと早くに読んでおけばよかったなぁ……などと思うことは多々私にもあったっけ。 図書館に関しては、ベストセラーを複数の部数蔵書するのではなく、あらゆる本を数多く所蔵していてほしいと語っておられた。そう。図書館でしか出会えない本もある。 つい最近もうちの子どものとてもお気に入 りになった本は児童書で15年くらい前に出版されたものだけれど、手に入れたくとももう手には入らない……。 この講演会の開演前に、ちらっと新しくオープンする図書館を見学してみたけれど、児童書のコーナーも広く、閲覧室もゆったりとしていて、ちょっとわくわくするような図書館となりそう……願わくば、自分の家の近所の図書室ももう少し充実してくれたら嬉しいのに……と思いながら帰途につきました。
「心に残るふたりの世界」と題して、さとうわきこさんと武井利喜さんの対談という形の講演会がありました。 諸事情があって子連れとなり、途中でお昼を買って、図書館についたら休憩室でお昼を食べるように指示、その後新しい図書館をくまなく探検するように指令を出して、私は講演会のホールへ。 さとうわきこさんはご存知「ばばばあちゃんシリーズ」や「せんたくかあちゃん」などで知られる絵本作家。武井利喜さんは長野県にある小さな絵本美術館の館長さんだとか……。 最初の15分くらいを聞き逃したのでわからなかったのですが、話を聞くうちに今日のお話のお二人はご夫婦だということが!!そしてお二人とも、ホフマンもフィッシャーもそしてたぶん他の絵本も大好きな方達なんです。いいなぁ、夫婦で趣味が共通だなんて!! さて、今回のお話は現在中央図書館で開催中の絵本原画展のお二人、ホフマンとフィッシャーについてでした。さとうさんも武井さんも、初めは大好きなホフマンについて探索するために、そのうちにフィッシャーについてもいろいろ知りたくなって幾度と無くスイスへ足を運び、原画を見、ご家族のお話をお聞きになったのだとか。 ホフマンもフィッシャーも美術学校でしっかりと版画を学んだ人でしたが、一人の父親として子ども達に絵本をプレゼントしているのです。誕生日や病気になって入院するとき、などに……。そうして、こどもたちの好きだった子猫やケーキなどの絵をさらっといれるのを忘れない……もちろん、そのお手製の絵本を子ども達に実際にご自分で読んであげてもいたそうです。 あぁ、とっても素敵なお父さんではないですか?小さな人間である子どもにちゃんとむきあえることができる、子どもが楽しいだろうと思うことをいたずら心一杯で描くことができる、そしてその楽しみを共有することができるなんて! そういった「家族を大事にする絵本作家」というホフマンとフィッシャーの共通点の話?そして、この二人の作家の置かれた状況や環境の違いなどから、作品を作り上げるときの姿勢が違っていた……。 例えば、ホフマンは緻密な下絵を書いてから作成にはいり、フィッシャーは学校の壁画などを子ども達の声を聞きながら半ば即興的に仕上げていった、というような話はなかなか興味深いものでした。 さとうわきこさんの、女性にしては低音のおっとりした声、そして武井さんはお年のわりには若若しく少年のような面立ちで淡々と語られる様子……タイトルの「心にのこるふたりの……」の「ふたり」はこのご夫婦のことをさしてなのか、はたまたホフマンとフィッシャーのことをさしているのか、絶妙なタイトルだなぁ……などと感心もしました。 お二人の対談……というかお話を聞いたあとに、原画展を見ました。とても幸せな気持ちになりました!見知らぬ人が、その子ども達に喜んでもらおうと思って描いた絵がなんて楽しくて素敵なこと!私も、たとえひとつでも子ども達が生涯喜ぶ素敵な手作りのものをのこせたら!と思わず決意してしまいました。 最後に「るんぷんぷん」というフィッシャーの描いた絵本を、息子さんがお父さんが読んでくれたように読んでもらった……というテープを聞かせていただきましたが、これは愉快に楽しかった!ということを付け加えておきます♪ 小さな絵本美術館HP http://shinshu.online.co.jp/museum/chiisanaehon/index.htm
絵本作家が8人も勢ぞろいし、楽しい歌から始まりました。
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