■読者のページ〜2000年11月〜
| インドネシア 南スラウェシ州マカッサルの子供の本について |
子供の本について書いて欲しいとのご依頼ですが、本について書く前にここの現状に付いて書かせていただきます。マカッサル(旧ウジュンパンダン)は、インドネシア、みなさんご存知のバリ島の北にあるK字型の島で、マカッサルはKの縦棒の下側にある、人口120〜130万の南スラウェシ州の州都です。
88年3月に始めてきたときは高層ビルが全くなかったこの町も、15階建てのホテルがたち、今では5つ星と言われるホテルも出来、開発が進んでいます。
インドネシアは日本とは階級意識が違い、日本のように「一億総中流」ではなく社会階級が天と地に分かれています。定収入を手にすることのできない日雇い労働者も多いです。
ベチャ(三輪車に座席がついた庶民が利用する乗り物)の運転手は地方からの出稼ぎが多く、日々定収入もなくその日暮的な生活で、田舎の妻子を養っていることもあるし、家を持たずにベチャで寝泊りする人もいます。
家族間の相互扶助の意識が高く、一家に一人定職を持った人がいると、その収入で親兄弟、若しくは親戚
が一軒の家で生活するということもあります(大家族主義)。そして「金持ち」は私たちが想像できないような生活をしています。
一生この島、または生まれた町を出ることがない人がいる反面、彼らは何回もメッカへの巡礼(インドネシアは国民の大半がイスラム教徒)へ行ったり、海外旅行・留学をしています。
子供の様子ですが、最近町には「ストリート・チュルドレン」が増えました。大小の交叉点では車が止まると空き缶
を持って寄ってきて「お金を下さい」と言う子供、ボロ布で形ばかり窓を拭いた後に空き缶
を差し出す子供、手製の楽器を鳴らして空き缶を出す子供、新聞を売る子供、また、赤ん坊を抱いて一日中交叉点に立つお母さんもいます。物価が異常に高騰してしまったために大人も子供も生活に追われているのです。
以下は本屋と本についてです。
本屋は大きく分けると2つに分かれます。市内には、日本橋の「丸善」のように洋書も扱う高級本屋(規模は稲毛駅前の多田屋程度)が2軒、そして普通
の本屋があります。しかし市内を離れるとこの普通の本屋の殆どない状態です。高級本屋で扱っている本は装丁も色もきれいですが、一般
の本屋にある本は印刷もよいとは言えず、紙もあまり質のよくないわら半紙的なものが多いように思います。高級本屋で目に付くのはディズニー物の翻訳で、色も装丁もきれいです。たぶんディズニーの契約基準が高いためだと思います。値段は6〜7000ルピアです。
友達がお嬢さんのために買った本に「小学館」のおとぎ話シリーズの翻訳ものがありました。「これは日本の本屋さんの店頭で売っている物と同じだが、少しサイズが小さい」と言うことで、「蟻とキリギリス」「町のねずみと田舎のねずみ」「孫悟空」「白雪姫」「赤い靴」「眠り姫」等が日本と同じシリーズで出されています。インドネシア各地の民話の本も数社から出されていますし、「カセットテープ」付の民話絵本(本自体は15×10センチぐらいの薄い物)もあります。これは朗読の発音も美しく、聞きやすいとの事でした。
面白いと思ったのは「アラビア語練習帳」です。イスラム教信者が多数を占めるこの国ではアラビア語は必要なのでしょう。書き順に番号が振られ、インドネシア語の単語の下にアラビア文字がつけてあります。その下に平仮名練習帳と同じような体裁で練習用の四角があります。が、これはつい最近発売された物で「新製品」だそうです。絵本ではありませんが、「お化けもの」のシリーズもあります。きっと日本の「学校の怪談」的なものだろうと思います。表紙はおどろおどろしい絵でした。
しかし、本屋へ行く時間帯もあるのでしょうが、「怪談もの」を立ち読みしている子供はいるけれども、本を買っている子供も大人もあまり見たことがありません。普通
の本屋ではいわゆる「絵本」は見当たりませんでした。子供用の書棚を見たところあったのはわら半紙上の紙に黒一色で印刷された「地方の民話」シリーズが10冊程度でしたし、前述の「アラビア語練習帳」はありませんでした。
日本の「コミック本」の翻訳(ドラゴンボール・ドラエモンその他)とイスラム関係の宗教書はどんな本屋にもあります。コミック本については、日曜日の午前中に各TV局でアニメが流れていること、宗教書については国民の80%がイスラム教徒であることから当然なのかもしれません。
学校に「図書室」があるかどうか、ということも疑問です。依然見せていただいた田舎の公立の小学校の教室は、前に黒板があり、机が並んでいるだけのがらんとしたもので、日本の小学校で見る「学級文庫」はありませんでしたし、私立の小学校を日本の小学校の交換絵画展に行った時も教室にはなかったように思います。
各家庭に「子供の本棚」があるのか、ということも疑問です。機会があったら、個人の家でその家の本棚を見せてもらいたいと思っていますが、まだ実現していません。
これは私個人がインドネシア、マカッサルで感じたことであって、ジャカルタ等の大都市では違うということをご了承ください。
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