■読者のページ〜2000年10月〜

私は3年間、公立の小・中学校の図書室に行っていました。

最初の2年間は学校図書館司書補助員、その次からは図書館指導員という市の嘱託の仕事です。大変な事はいろいろありましたけど、子どもたちと過ごす時間はとても楽しいものでした。

クラスごとの図書の時間に、最初は読み聞かせをしていましたが、半年くらいたって「語り」に挑戦してみました。小学校2年生でした。読み聞かせもよく聞いてくれるクラスでしたが、本をなくしてじかに語りかけると、こうも真剣に聞いてくれるのかと驚きました。

それでは6年生ではどうかとさせてもらうと、またよく聞きます。鬼が出てくる話なのに「これ、ほんとの話?」と聞く子がいたりしました。それでは中学生は?と中学に行ったときにさせてもらうと、どの学年もじっと聞き入ってくれました。

最初の1年間は小学校3校、中学校1校を担当していました。これは「語り」の実践向きでした。1つお話を覚えると何回も語るチャンスがあるのです。そして1回ごとに違う反応があり、中には失敗もあり、いろいろわかってきました。

こうしていくつかお話を語りましたが、中でもグリムの『熊の皮を着た男』は大きい子たちに好評でした。中学3年生が1番、印象に残る聞き手でした。「お父さん、私がこの方と結婚します。」というところで男子の反応がいいのです。視線がぴっと集まりました。

小学校高学年も良く聞いてくれますが、熊っかわがだんだん汚くなるところで身をのりだします。同じお話でも成長の過程で聞きたいところが違うとよくわかりました。

次の2年間は小学校1校、中学校1校になりました。1つの小学校にいる時間が長くなったので、今度は授業1時間の長さでのお話会を計画しました。

語りと絵本の読み聞かせ、本の紹介、パネルシアター、小さい学年は手あそびやお人形を入れます。先生方にもアドバイスしてもらって工夫を重ねました。そのプログラムを使って、娘の小学校でも各クラスに回らせてもらいました。友人の学校でもさせてもらいました。(週4日の勤務で、あいている日があるのです。)

こうしてふりかえってみると、この3年間は与えるつもりが与えてもらった貴重な勉強の時間でした。これからは個人の活動で学校や家庭などでお話会をする予定です。

えるふさんに相談して岩波文庫『グリム童話集』を紹介してもらいましたし、私自身、お話にじっくり取り組みたいと思っています。昨年お亡くなりになった千城台東小学校の弓削先生のクラスでは、いつも覚えたてのお話や新しいことをさせてもらっていました。

「いつもお試しをさせてもらってすみません。」と言うと「いいのよ。何でもお試しなのよ。1度やったことは必ず次に生きるんだから。そうやって私たちが覚えて次の子たちにもっといいものが渡せるでしょう。」と励ましてくださいました。

たくさんの子どもたちに会って、どの子もいい子でお話が大好きなんだと改めてわかりました。弓削先生の言葉を胸にこれから出会う子たちに、よりよいものを届けたいと思っています。

(あかつき文庫 渡辺のぶえ)