★今月の新刊とクリスマス絵本
子どもに語るトルコの昔話
児島満子 編・訳
山本真基子 編集協力
こぐま社:本体1600円
トルコの昔話が15編収められています。
悪いことをした人が懲らしめられる罰には「40の肉切り包丁で切り刻まれるか、40頭のラバのしっぽにくくりつけられて町中引き回されるか」とか、楽器がお話のなかに良く出てきたり、羊飼いの登場などヨーロッパ的な香りもする不思議な国のお話集です。
この本の中でも活躍するホジャは日本でいう吉四六さんにあたるでしょうか。ホジャの話はおおらかで楽しく、子どもたちは大好きです。
丘の夢、夢の家族
キット・ピアソン作
本多英明訳
徳間書店:本体1600円

9歳の少女シーオは若い母親リーと2人きりで暮らしています。生活は貧しく、リーは自分のことばかりに夢中です。母親だけでなく誰からも相手にされない孤独なシーオは本の中の自分、家族を想像するのが楽しみでした。
リーは自分の人生のために、シーオを姉に預けようと、ビクトリア行きのフェリーに乗りますが、その中である女の人がシーオを見つめていました。
そしてそれだけでなく、そこで出会った家族の1人になれますように願うと、いつの間にかその1人になってしまいます。
現実と夢の家族の間をさまようシーオの前にフェリーの中で見つめていた女の人が現れて、自分は幽霊なのだと語るのでした。
リーとその姉の関係なども入ってきてちょっと物語がゴタゴタしているのは残念だが、シーオの想像力がシーオだけでなく、他の人をも救っていく結末は興味深いものでした。中学生ぐらいから。

ブループリント
シャルロッテ・ケルナー
鈴木仁子 訳
講談社:本体1600円
有名なピアニストであるイーリスは不治の病に冒されたことを知って、クローンの娘スーリィを生む事を決心します。
SIRI(スーリィ)はIRIS(イーリス)に似た娘でなく、そのもの。
イーリスの母親はスーリィのことをバケモノと言います。
この作品はそんなに遠くない未来に登場するかも知れないクローン人間のことを扱っていますが、それだけでなく、本当の自分とは一体何なのかと子どもたちに、子供を生んで育てるという事はどういう事なのかを大人に問いかけています。(児童文学の中にクローン人間が出てきたのはこの作品が初めてだと思います。)
★クリスマス新刊絵本
何故か今年は版型が変わったり、同じ画家の全面描きかえ、訳違いなどちょっと違う趣のある絵本が続きました。
きりのなかのはりねずみ
ノルシュテインとコズロフ/作
ヤルブーソヴァ/絵
こじまひろこ/訳
福音館書店:本体1300円

短編のアニメーションで有名なノルシュテインの作品。『きりのなかのはりねずみ』の絵本版です。
はりねずみはこぐまくんとお茶を飲みながら星を数える約束のため、霧の中を出かけます。
はりねずみやミミズク、イヌ(特に)クマの表情など、アニメーションぽいところがありますが、霧の中の白い馬、ホタルのあかりを持ったはりねずみ、川に舞う蝶、こぐまとはりねずみが並んで星を数える場面 など、幻想的で静かな大変美しい絵本です。

クリスマスのまえのばん
え ターシャ・テューダー
詩 クレメント・ムア
訳 中村妙子
偕成社:本体1400円
以前出版されていた同名の絵本の画家による全面描きかえの絵本です。
可愛らしく、丸く描かれていたサンタや動物たちは土俗的な小人のおじさん、動物に描かれています。
色は渋く落ち着いていて、まるっきり違う絵本になりました。
訳文も一部改訂されています。
おおきいツリーちいさいツリー
ロバート・バリーさく
光吉夏弥やく
大日本図書:本体1300円
元は同じ出版社から読み物風に出版されていた本で、このシリーズは1年生ぐらいの子どもが自分で字を拾って読むのに良い本が出ています。
読み物から大版の絵本に、白黒の絵には鮮やかな色がつき、いかにもクリスマスらしい華やかな絵本になりました。
大きなツリーが部屋に入りきらないために頭をチョン。
最後にはねずみ一家にも小さなツリーが出来るお話です。
マドレーヌのクリスマス
作ルドヴィッヒ・ベーメルマンス
訳江國香織
BL出版:本体1200円
以前出版していた会社の倒産で手に入らなかったのですが、違う出版社から出ました。
前よりは少し縦が長く、色は赤や紺が幾分澄んでいます。
訳は全然違います。江國香織の訳は全体に柔らかい感じなのですが、以前の俵万智の訳は歌人らしく七五調のリズムがあるのに改めて気付き、面 白いと思いました。
満月をまって
メアリー・リン・レイぶん
バーバラ・クーニーえ
掛川恭子やく
あすなろ書房:本体1400円
今年逝ってしまったクーニーの1999年の作品。『にぐるまひいて』の様な絵本です。
100年も昔、コロンビア郡の山間に、かごを作って暮らしていた人達がいました。でも近代化の波、最後まで作り続けていた人も1996年に亡くなり、かごは今でも使われてはいるものの、もう作る人達はいなくなってしまったそうです。
父から子へ、人から人へと伝えられた手仕事は、丈夫で素朴で非常に美しいもの。
今世紀もあと僅かで終わろうとしていますが、便利さの陰に、私達は大切なものを失ってしまったのかも知れません。
くつなおしの店
アリスン・アトリーさく
松野正子やく
こみねゆら え
福音館書店:本体1200円
アトリーの作品の中でも『チム・ラビットのぼうけん』や『グレイ・ラビットシリーズ』『ラベンダーのくつ』などと同じ系統の物語です。
妖精のくつを作るじいさんと孫のジャック。
足の悪い少女ポリー・アンだけが知っているのです。小さい人達と赤い靴のことを……。
1年生ぐらいから。
★その他
ぐりとぐらのおきゃくさま子うさぎましろのお話さむがりやのサンタなどに代表されるロングセラーのクリスマス絵本がたくさんあります。クリスチャンではないけど、クリスマスと誕生日、年2回は子どもたちに本をプレゼントしましょう。そしてプレゼントだけでなく親子で一緒に読んでみましょう。それは、心の中にサンタクロースを持ったことのある子どもはとても幸せだからです。

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