★たんねんに描かれた絵本の楽しみ
るん ぷん ぷん
ハンス・フィッシャー/作
さとうわきこ/ことば
小さな絵本美術館・架空社
本体:1250円
我が家には「ピッチ」という名前のネコがいます。
フィッシャーの絵本、『こねこのピッチ』から名付けた白黒のいたずら好きなネコです。
そのピッチも含めて、フィッシャーが描いた絵本の中の動物が勢揃いして行進します。
“ぎょうれつ ぎょうれつ るん ぷん ぷん”絵が十分語ってくれて、音楽までが聞こえてきそうなので原本どおり、言葉はなくても良かったように思います。
こいぬのジョリーと
あそぼうよ

ダーリ・メッツガー文
マーガレット・シュトループ絵
齋藤尚子訳
徳間書店:本体1500円
こいぬのジョリーと、最後には飼い主のシュテフィの家にもらわれてくることになる、ダックスフントのジョーカが主人公になっているのですが、むしろこのこいぬ を巡っての子どもたちの遊びや周りの自然、働いている大人の生活が一年間描かれている絵本です。
高くそびえ立つ教会の塔、牧場、馬車、お祭りの日、どのページを見ても決して日本では見られない風景ですが、沢山の犬と遊んでいる子どもたちが描かれていて、こんな所があったら行ってみたいと思いました。
満月をまって』
メアリー・リン・レイぶん
バーバラ・クーニーえ
掛川恭子やく
あすなろ書房:本体1400円
今年逝ってしまったクーニーの1999年の作品。『にぐるまひいて』の様な絵本です。
100年も昔、コロンビア郡の山間に、かごを作って暮らしていた人達がいました。でも近代化の波、最後まで作り続けていた人も1996年に亡くなり、かごは今でも使われてはいるものの、もう作る人達はいなくなってしまったそうです。
父から子へ、人から人へと伝えられた手仕事は、丈夫で素朴で非常に美しいもの。
今世紀もあと僅かで終わろうとしていますが、便利さの陰に、私達は大切なものを失ってしまったのかも知れません。
こんなことってある!ブタと恐竜と魔女の愉快なお話
おさわがせなバーティくん
ケネス・グレアム作
アーネスト・H・シェパード絵
中川千尋訳
徳間書店:本体1200円

『たのしい川べ』の作者『クマのプーさん』の画家のコンビ、ヒキガエルの代わりはくろぶたのバーティ。
何を思ったか歌を歌うと美味しいご馳走が食べられると思い、ともだちのウサギを誘って勇んで出かけますが……。
作者が息子のために描いた作品で、お話の中にはグレアム自身も出てきます。たわいのないドタバタ劇ですが、ちょっと小ぶりの装丁はプレゼントにもお薦めです。
2年生ぐらいから。

おふろのなかから
モンスター

ディック・キング・スミス作
金原瑞人訳
はたこうしろう絵
講談社:本体1400円
大嵐の次の朝、池辺で見つけたものを家に持って帰り、お風呂場に入れておくと、一晩で孵ったのは、生まれたばかりのネコぐらいの大きさで、長い首に馬みたいな頭があって、イボイボの身体とヒレと、ワニみたいなしっぽを持ったケルピー(水馬)でした。
カースティと弟アンガス、お母さんおじいちゃん(このおじいちゃんは愉快)船乗りで帰ってきたお父さん、一家はどんどん大きくなるモンスターのクルーソーを広い湖に帰してやることにしました。
最近あまり話題にならなくなりましたが、ネス湖の怪物も、もしかしたらケルピーかも知れませんね。
色々な動物を書いているスミスの楽しい新作です。
3年生ぐらいから。
魔女学校うみへいく
ジル・マーフィー作/絵
松川真弓訳
評論社:本体1500円
魔女学校シリーズ4巻目。ドジ魔女ミル、またしても大活躍。
ミルのねこトラチャンは、魔女のねこに適していないというので台所ねこにさせられてしまいます。
先回のご褒美に、夏期学校に魔法使いのローワンウェップさんのお城に招待されますが、そのお城は大変なボロのお城、そしてトラチャンと別 れられないミルは、秘かにトラチャンも一緒に連れてきてしまいます。
相変わらずの大騒ぎ、単純なストーリーで登場人物は類型的なのだけれど、お話に安定感があって、明るく開放的なのでファンが多い。
3年生ぐらいから。
子どもはひとりでは大きくなれません
『海の魔法使い』
パトリシア・マクラクラン作
金原瑞人訳
中村悦子絵
あかね書房:本体1000円
今度海で生まれた赤ちゃん魔女はちょっと変わっていました。
たったひとつ、名前を選ばなければならないのに決められません。
それにいつもニコニコと笑っています。
でも、海の魔法使いになるためには、陸に上がってひとつ、たったひとつ名前を見付けてこなければなりません。
静かで不思議な心温まる短いお話です。
5年生ぐらいから。
パラダイスにむかって
バーバラ・オコーナー作
伊藤菜摘子訳
偕成社:本体1300円
マーティンは野球なんかあまり興味がありません。好きなのは音楽、特にベートーベンが大好きです。
でも、父親は野球に強い、男らしい子どもであることを要求します。失業している父親はイライラと自分の思ったようにならないので、マーティンを罵り、時には暴力を振るいます。
この本の中には沢山の大人が出てきます。優しくて夫に逆らえない母親、どうやらマーティンの父親を生みたくて育てたわけではなさそうな(夫がいない?)祖母、音楽でマーティンを繋ぎ止めておこうとする自閉的な中年女性のワィリーン、転校生シビルの父親。
シビルはマーティンにこんな事を言います。「そうね、あんたはあんた自身のやり方で、物事にあたっていかなくちゃいけないんだよね。」「でも、あたしは自分自身でいることをこわがったりしないよ。」
中学生ぐらいから。
世界のむかしばなし
瀬田貞二訳
太田大八絵
のら書店:本体2000円
1971年に出されたのですが、長く品切れになっていました。出版社が変わって出ました。
語り口のすっきりとした、繰り返しの多いお話が14編入っていて、読み聞かせても、自分で読んでもとても読みやすく、楽しい挿絵がたくさん入っています。

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