■えるふ流読書法〜2004年3月〜
いま、日本の児童文学者で昔の時代を背景として、物語を書いて活躍している女性作家の一人にたつみや章がいる。
1954年生まれ、1991年『ぼくの稲荷山戦記』でデビュー。『月神の統べる森』で始まった、いわゆる月神シリーズの外伝にあたる『裔を継ぐ者』がでた。このシリーズの時代背景は縄文時代から弥生時代に変わる頃、渡来人があり、稲作を取り入れはじめた頃の混乱と新生の中での人々を描いている。
経歴によると大学で史学地理学科出身ということらしく、時代の変革期の中でムラを守り、家族を守って、クニを造っていった昔の人々、その中心になった若い人々と神のかかわり、というより神の助けをかりてムラやクニを造っていった人々が描かれている。外国の歴史小説といえば、イギリスの作家サトクリフはブリテンにおけるローマ人の侵攻にともない、民族と自我の確立に悩む青年をくり返しくり返し描いているが、たつみや章の作品の中ではサトクリフの作品のような意味の個としての成長でなく、ムラの成立とその中で生きていく人々、ムラと神とのかかわりの中で成長していく青年が描かれている。
『裔を継ぐ者』の主人公サザレヒコは禁を犯しムラを追放されてしまい、山の中をオオモノヌシの許しを得るため彷徨うが、困難と苦しみを教え諭し、サザレヒコの成長を助けたのは、白いオロチであるオオモノヌシの神だった。むろん、サザレヒコは最後にムラに帰り<語る者>となる。日本の神話である三輪山伝説がこの物語の背景にありムラと個人、こうやって神の助けを
かりながら日本のクニができてきたのだろうかと読みながら思った。
ところで鳥ウイルスがひろがっている。カモなど昔から持っていたというが、それは共存してきたということ、とすると、この状態は私たちの地球というクニがほころびはじめてきたということなのだろうか?神は助けてくれるか。鳥は神の使い、神聖なものである。朝を告げるものである。
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生きたまま穴に埋められていく何万羽ものの鶏、イラク戦争のみならず世界中、人が人を殺し、殺されボロ布のようになった死体とがダブって押し寄せてくる。
これは欲望と愚かしさで傲慢になり、私たちの祖先が何を考えて生きてきたかを語ることもしなくなった現代人への警告なのではないだろうか。
『裔を継ぐ者』 すえをつぐもの
たつみや章/講談社 |
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