■えるふ流読書法〜2003年3月〜

今月の新刊絵本『北の魔女ロウヒ』『お日さまをみつけたよ』の物語のベースになっている悪いものがお日さまを隠し、善きもの動物たちが取りかえすというお話は世界に似たものがあります。春に向かっての再生の物語なのだと思います。3月はまさにその季節、死をも飲み込んでしまう大地から太陽や月の力をかりて新しい生命が誕生します。

アメリカ、イギリス、勿論日本の政治家も考えて欲しいものです。力で他を征服する論理は死=生命を司る大地を破壊します。そこからは何も生まれてきません。あるのは死のみ、邪悪な悪の力です。力をあわせることで生命を与えなければ、そして、太陽を取り戻すことこそ男の力ではないかしら?

ところで、『北の魔女ロウヒ』の物語のもとであるフィンランドの叙事詩『カレワラ』についてお話します。

今、私の手許にある森本覚丹訳『カレワラ』講談社学術文庫上・下、出版されたのは1983年、私はもう会留府で仕事をしていました。この本を買ったのは、その頃『指輪物語』をもう一度読み直していた時でした。

『指輪物語』が影響をうけたという『エッダ』なども一緒に読みました。『カレワラ』はフィンランドの叙事詩で、そこでは民衆が生活する中で声をあわせて歌う、そして、それは英雄や自然のことなど全てにわたって歌い継がれてきていたのを、エリアス=リョンロットが蒐集して、その叙事詩の方を『カレワラ』、叙情詩の方を『カンテレタル』と名付け発表したものです。音楽家シベリウスに大きな影響を与えたことでも有名です。

『カレワラ』は1835年に出版され、2巻32章それを増補して全50章からなる本として、1849年に発刊されています。『カレワラ』はカレワの国という意味で、カレワはこの詩にでてくる主人公の祖先の名前、ちなみに『カンテレ』というのは琴の娘という意味とのことです。

このカレワの中でもカンテレを非常に上手に奏して歌い、全てのもの達を酔わせるワイナモイネンが最も偉い人間で、武より智である文や歌や音楽が優れていて、ワイナモイネンは武器でなく歌や音楽の力で他を征服するという、また、この叙事詩はなかなかユーモアがあってとても楽しい、ワイナモイネンほどの偉い人でも困難な時は大声をあげて泣く場面があったりします。

そして、自然の表現がとて も美しく、戦いの場面があってもドロドロした人間関係がないのも私のお気に入りの理由のひとつです。太陽と月をポホヨラの女主人ロウヒが盗んでかくしてしまうこの話は「カレワラ」の47章太陽と月の掠奪から、48章火の鹵獲(ろかく)、49章贋と真の日月にあたるものです。できたら声にだして読んでみてください。



『北の魔女ロウヒ』
バーバラ・クーニー 絵
トニ・デ・ゲレツ 原文
さくまゆみこ 編訳
あすなろ書房

『お日さまをみつけたよ』
M・ミトゥーリチ 原案/絵
松谷さやか 文
セーラー出版