■えるふ流読書法〜2002年10月〜
『風の旅人』(新宮晋 扶桑社)を読みました。
サブタイトルはウインドキャラバンとなっています。そして、オビには風のアーティストが風と人の出会いを求めてこの星に残された大自然を巡る旅にでた……これは壮大な冒険小説ーと書かれています。
作者は彫刻家なのですが、残念ながら私はその作品を一つも見たことはありません。私が知っているのは彼が描いたいくつかの絵本です。1975年に出版された『いちご』、1979年の『くも』を見た時にこの2冊の本はデザイナーの描いた絵本なのかと思いました。
でも、それらの絵本は立体的な描かれ方がされていて、彫刻家ということで納得ができました。(それは例えば佐藤忠良の『おおきなかぶ』もそうで、すこし離れて見ると絵に厚みがあります。)これらの絵本や
1999年に刊行された『小さな池』が記憶にあって、この本を読んでみようと思いました。
ちなみに彫刻は1965年頃から風で動く作品を創りあげてきて、数々の野外彫刻展をしているとのこと、一度見てみたいと思っています。
健康診断で癌の疑いがあると言われ(なんともなかった)新宮は残された時間を本当にやりたかつたことをやろうと思います。それは世界を巡るウインドキャラバンという構想でした。
風や水という自然エネルギーを動かし作品を創りつづけてきて、それだけでなくいろいろと未曽有の危機に瀕している地球、この美しい私達の地球を自分なりに証明したいと思っての『風の旅人』になったとのことです。
そして、それを彼は子ども達に伝えたいと思いました たくさんの共感者(文中に出てくる世界中の幅広くいる友人、知人の多いことにも少し驚きました。)の協力を得て日本〜棚田、ニュージーランド〜モトゥコレア島、モンゴル〜大草原、モロッコ〜岩山、フィンランド〜凍結した湖、ブラジル〜砂丘に作品である風車を建てる、それに参加することで自然との共有を感じようというものです。
そのレポートとたくさんの写真とスケッチが入って書かれています。その土地のレポートもおもしろいのですが
そのなかで成功させるために現地の人との交流がつづられているのが印象に残ります。
ところで、この本を読んで、私は1999年(アメリカでは1998年に刊行された)ポール・フライシュマン著『風をつむぐ少年』を思い出していました。16才の少年ブレンドが友人達に自分の存在をアピールするのに失敗して、絶望的になり、自動車事故をおこし見ず知らずの18才の少女リーを死なせてしまいます。
|
|
その償いにリーの顔をした風で動くお人形を作って、アメリカの四隅ワシントン州、カリフォルニア州、フロリダ州、メイン州に建ててほしいと遺族からいわれ、その旅に出る話です。作られた人形、そして吹く風は出会った人達の人生も少しづつ変えていくというストーリーは重層的に展開され、少年の罪の償いと再生、人と人の結びつきを語っています。
人は誰でも『風の旅人』だと思います。皆さんの風はどんな風でしょうか?私の風は小さいけれど、会留府や回りで楽しいことをおこすことができたらいいなぁと考えます。
『風をつむぐ少年』 ポール・フライシュマン/片岡しのぶ訳/あすなろ書房
|
|