■会留府のこと〜2000年10月〜


再販制という制度が疲労してきたために、本屋は本を責任もって売らなくなった。

売れなければ返せば良いという意識で、積極的に責任をもって仕入れて売る事をしなくなったという事が言われます。

確かに人は自覚が薄いとただマンネンダラリと毎日を送り、それが当たり前になっていきます。

会留府も(専門店はみんなそうですが。)委託制にのっとって他の人が送ってくる本をただ並べて商売をする、せっせと返品をして……という本の流通システムに始めから乗らなかったのは、本を売るという行為で自分の持っているものを伝えたいという思いがあったからでした。

仲間の人たちが集まると良く出る言葉は『金儲けをしたいとは思わないけれど、これで何とか生活できる様にならないとね。』そうです、でなければ商売とは言いません。けれどその商売を自分の力でやりたいからです。

今、会留府はどうしているのでしょうか。

Aさんが新聞の広告、書評などを見て本を欲しいと思い、会留府に来ます。そして会留府にありました。その本は会留府では色々の手段を使い、前もって情報を掴んであり、出版社に注文を出して(ほとんどFAXを使います。)タイミングも良く、出版社からも順調に出庫されました。

これは早く注文を出し過ぎると未刊、ちょっと遅くなると品切れ・再版未定という赤い印が押された注文書が戻って来ます。

そして、その返事も小出版社などはFAXなどで返事が来ますが、大出版社(新潮社や講談社、小学館など。)はまずありません。1ヶ月ぐらい経って来るのが普通 です。

この場合の品切れというのは委託制に乗せて、出版された本を全部全国の書店に送品してしまったので、それが3ヶ月経つと返品されて戻りますという事で、決して全部売れてしまったという事ではありません。

昔は出版社に1割ぐらいの本を残しておいたので、そこから出庫してくれたのですが、現在は1冊も残さず全部配本してしまう出版社が多くなりました。

また、配本は書店の売り上げ実績で決まりますから、大型書店には山と積まれているのに、会留府には1冊も入って来ないという事があります。時にはその大型書店に行って、普通のお客様になって買って来て売るという話も良く聞かれる話です。

せっかく買いに来ていただいたのに、既に会留府では売れてしまった後の時や、会留府では手配してなくて本が入って来ない時はご注文頂く事になります。

また“ちょっと見て決めたい”……それは当然です。

その場合は正直に実状をお話する事にしています。お近くの書店や図書館を紹介する事もあります。新刊でない場合もほとんど同じ手順を踏みます。

会留府には棚在庫の基本的な本があります。この場合の本は売れたら必ず補充します。それ以外の本は色々な条件を考えて仕入れるかどうかを決めます。

これらの仕入れや棚在庫の判断は今のところ、色々な方の話を聞きながらも裕子1人が全部しています。

まず、本の内容を知らないと決められないので、ともかく読みます。幸い本を読むスピードは早い方ですが、一晩で何冊も読まなければならない時は徹夜などという事もあります。

この選書については店を始めた時は“自分の好きな本を売りたい”とひたすら思っていたのですが、今はそう思わなくなりました。

1冊の本を手に取りながら“この本はBさんが気に入ってくれそう”などと思うようになりました。自分があまり気に入らない本でも、ちょっと店に置く事もします。

その理由は“人には本当に色々な読み方感じ方がある”という事でした。自分自身の読書傾向があまり広くないという事に気が付いたからです。

ただ、あまり自分が納得できない本は売りたくない。それと他の方法で表現出来るものは仕入れません。

例えばディズニー調、アニメ調の絵本など。どんなに売れると薦められても仕入れません。売らんかなの本よりアニメそのままの方がとても綺麗で楽しいからです。

当然、おもちゃの様な本や、グッズに近いものは在庫しません。

出来るだけ読み継がれてきたもの、読み継がれていかれそうな本、地味だけれど心が大きく広がって行く本、そんな本を店に置きたいと思います。

そして、それがお客様の目に留まって、買っていく大人がいて、子どもたちに読まれたらいいなぁと思っています。

子どもの本は大人が買ったり、与えたりして子どもが読むのです。