■ボストン便り〜2004年2月〜

Reading log


子供を本好きにさせたいのが保護者の遠大な理想であるのは洋の東西を問いません。
もっとも私は無類の本好きで、何かお使いに出かけると無意識のうちに書店に吸い込まれ閉店まで立ち読みをしては親に叱責される子供だったので、どうすると読書が好きになるか何ぞは考えてみた事もないのですが。息子の学校では1年生のうちから「毎日わずかの時間でも本を読みましょう」というのが宿題になっています。

親はその日読んだ本を“Reading log”というノートに記録してあげて、週末に先生に提出することになっております。一年生の最初のうちは“英語の本が難しかったら日本語の本で良いですから、題名を英訳して書いてください”と言われていましたが、だんだん英語の本にシフトしつつあります。

また、今期のReading logはノンフィクション・赤、フィクション・青、詩・黄色と色を塗ることも加わりました。最初のうちは英語の本に興味を向かせるのが大変です。日本語ではもう既にある程度の童話を一人で楽しむようになってる人に、赤ちゃん向けの英語の本を見せても興味を引くわけがありません。かといって学齢相応の英語の本は、最初はとても読めません。

この際興味を引くものであれば多少教育的見地は目をつぶろうと(注)ポケットモンスターやベイブレード等のキャラクターの本を探しに書店に行くと、意外なことにアメリカはこの種のキャラクターの本は全くそろっていなくて、せいぜいあっても1〜2冊程度です。幼稚園から小学校卒業程度まで、月刊誌から単行本まで目を背けても視野に入る日本の一般書店の書架とは大違いです。

その代わりにボキャブラリーレベルに応じたリーディングの本が山のように揃っています。オリジナルのキャラクターが登場している続き物のお話で、プレキンンダーレベル、キンダー、一年生、二年生と巻を進むごとにボキャブラリーも難しくなっていく、非常にシステマチックな構成の子供向けの読み物シリーズが潤沢に揃っています。ま、読んでみて面白い話かどうかは別として、本を子供の文章を読む技術を向上させる教育素材としての割り切り方が感じられてアメリカ的です。

注:私は個人的にはこの種のキャラクターが息子に与えてくれたプラスの側面を否定できません。アメリカでもポケットモンスター、戦隊シリーズをはじめとしてハム太郎からドラゴンボールにガンダムまで、子供たちが接するキャラクターはほとんど日本と同じです。ヨーロッパでもかなり共通しています。このことが息子と彼のアメリカ人の友達との間の共通語彙となって友達付き合いの糸口になった例は数知れません。

私たちの世代だと、アメリカ人に「スコッティ、ビームをくれ」などと冗談を言われても楽しめるのは日本人では一部の物好きに限定されます。そんな私の目には、太平洋を隔てて違う国、違う言語でありながら、共通の語彙で育った彼らはとてもまぶしく写ります。日本にいると鬱陶しい戦隊ごっこも、彼らの大切なコミュニケーション基盤になるかもしれません。


今になって思うと、息子が初めて喜んで自分で読んだ英語の本はDavid Shannonの“David”シリーズです。普通 の保護者なら目を顰めたくなる(覆いたくもなる)タイプのいたずら者David君が各ページお母さんや先生に叱責され続け、でも最後のページだけはしっかりとお母さんや先生に甘えている、ほとんど言語を問わずに楽しめる本です。

また、アーノルド・ローベルの『お手紙』で有名ながまくんとかえるくん“Frog and Todd”シリーズも楽しんで読んでいました。

さすがに2年目になったので、語学の才能の開花がひたすら待たれる息子も学校の宿題のプリントなどはこなせる様になってきましたが、さすがにまだ年齢相応の英語の本をエンジョイして読むまでには至っておりません。それでも、英語の物語も読むようになってきまして一応Logにも英語の本の題名が並んできます。

学校のリーディングのクラスでは、アーサーのシリーズやエルマーと龍のシリーズなどが教材になっています。先生にもよりますが、息子のクラスは割といろいろな作者の本を満遍なく読んでいます。隣のクラスはボストンに関係あるJan Brettの作品をとことん続けて読んだりしています。

先週から息子は、日本語版だったら一冊を10分ほどで読んでしまうマジックツリーハウスのシリーズを、一章ずつのんびりと「今日はここまでよんだ」と栞をはさみつつ読んでいます。と言うわけでReadling logには二週間毎日同じ題名の本が並びます。 忙しさにかこつけてまだHarry Potterの最新刊の背表紙とにらめっこしてる父はあまり息子に強い態度には出られませんが、毎週チェックをしてくださる担任の先生はさぞ退屈かとお察しします。

息子の名誉のために書き加えますと、彼は本が好きで、一度読み始めるとあっという間に読み終わり、毎月会留府から本が届くのを首を長くして待っています。

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ボストン在住ひいらぎさん一家
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