■ボストン便り〜2003年6月〜

アメリカで学校に入学するために〜予防注射体験記〜


我が家の息子は、いつの間にか注射をされても泣かなくなりました。

息子は風邪をひくとかなり強力な気管拡張剤を出されるくらい呼吸器系が弱いのですが、意外と注射が必要な病気をしません。一度だけ、おなかが痛くなる風邪をひいた時、でも妙に目がぱっちりしているなと思いつつ、小児科に連れて行ったら「脱水症状を起こしてます。目の周りがくぼんでるでしょ」「ぇ。だから目がぱっちりしてたのか……」と、ブドウ糖+生理食塩水の大きな注射をしたことがあるくらいで、病気で注射を打つ経験はあまりありませんでした。

注射をされても泣かなくなったのは幼稚園の年長の頃からだったと思います。病気での注射は皆無なのですが、そもそも我が家はインフルエンザの予防接種は例年欠かしませんし、年中以降は、いつ渡米しても良いように予防接種をしこたま受けていましたので、さすがに注射慣れしてきたのかもしれません。

また、主治医のK先生のところの看護婦さんは手練れ揃いで、「ちょっとちくっとするだけよー」などといいながら上手に針を入れてくれます。いつの間にか、予防接種などでは全然泣かなくなりました。

さて。ボストンに来た直後の話です。小学校の手続きにいくと、まだ山のように接種しなければならない予防接種がいっぱいあって、しかも必須の注射がいくつもあることがわかりました。

アメリカの学校は〜もちろん私の通っている学校もそうな んですが〜予防接種の完了が優先されて、たとえ大学院だろうが義務教育だろうが接種記録がなければ入学は延期させられてしまいます。

大変珍しく「すぐ来い」といわれて、三人は近所の病院にひょこひょこいきました。

「小学校入学の予防注射お願いしたいんですけど」「何の予防接種をしたいの」「実は日本とアメリカで予防接種の名前とか略号が違って素人ではよくわからんので……。この、日本の接種記録と小学校からの必要な予防接種のリストを診て、足りないのを適当に見繕って……」「……(ちょっと呆れ顔の看護婦さん)……わかった。リストよこしなさい……。」

待合室で待ってる間に父ははたと気がつきました。もしかすると……。事前に警告しておきましょう。「よいか。息子よ。アメリカの注射はおしりにするかもしれない。でも、おしりの注射って痛くないから……」「え? おしりいやだ……」「おしりはお肉がいっぱいあるから」「おしりは“い”“や”(<-HGゴシック24ptぐらい)」息子はちょっと引き気味です。

しばし待たされた後、息子が呼ばれました。父の2.25倍ほど恰幅の良さそうな看護婦さんによばれて、ちょっと息子はたじたじです。
「Hi,Are you going to elementary school?」みたいに言われてます。息子、ちょっと弱気です。

「B型肝炎とポリオと麻疹だからね」「ちゃんと出来たらこの飴あげるからね」看護婦さんが、ちょっと透き通った赤と、白のストライプの キャンディーを見せてくれます。「ぉぉ。息子よ。みてごらんおまえの大好きなイチゴのキャンディーだ。」と父が通訳。

おお。さすがは医療先進国、こんな混合ワクチンがあるのかと父が感心しておりますと、「さぁ。Tシャツを脱いで」と看護婦さんの指示。腕にするみたいです。よかったね、おしりじゃなくて。シャツを脱いで、渋々息子が腕を出します。看護婦さんが片手にアルコールを持ってささっと消毒。手裏剣みたいに左手に注射器を2本軽く持って、右手に別の注射器を1本握りしめます。右手はちょうどノック式のボールペンを4本指と手のひらで握って、後ろのノックボタンに親指をかける感じです。む?3本?混合ワクチンとかではなかったのですね……。(もちろん3カ所うつわけではなく、1本終わったら中身を差し替えてまた注入します)

ポリオも日本では経口タイプ(飲むタイプ)なのですが、こちらでは4回! 注射の接種になります。また他の予防接種も日本よりはかなり回数が多く、種類がたくさんあります。看護婦さん、軽くバックスイングして、金槌で釘を打つみたいな感じで、腕にバーティカル(直角)に、ぶすっと。で、親指でちゅーっと薬液注入。「ぎゃ〜(<-HGゴシックボールド48ptぐらい,赤字)」「おとうさんしっかり腕をもって」看護婦さん2本目をぶす。「いや〜。やめで欲じい〜」大号泣の息子。「お母さん足を持って」3本目ぶす。

ここでひとやすみ。

アメリカの戦争映画で、負傷兵に鎮痛剤を打つシーンを思い出しましょう。別にあれは「戦場で急いでる」「軍医さんなので荒っぽい」「そもそも大けがで鎮痛剤が必要なくらいだから多少乱暴でもまぁ」という訳ではなくて、ごく普通の注射法なんですねアメリカの。バックスイングもまさにあの通りです。いい勉強になりました。

「よく頑張ったね。ほらキャンディーあげる」と看護婦さん。「よかったね。よく頑張ったね息子よ。」と父。「う゛〜」久しぶりに声にもならないほどの大号泣です。でも、とりあえず大好きなイチゴ系のキャンディーをもらったのでなんとか涙を止めて、セロファンをはがして口に入れます。「うぞづぎ〜(大号泣復活)。これ、いちごじゃない〜。辛い〜。いやだ〜」しまった。アメリカって赤くて透明な食べ物はイチゴのこともあるけど、ミント味の確率も結構高いのでした。わが息子はミントは辛くて苦手で……。ま、こんな試練も乗り越えて息子は小学校に毎日楽しく通っております。

会留府から大石さんへ

ほんとに広ぴろした病院ですね。特別なのでしょうか?日本では子どもが少なくなっているわりに手がかかるので小児科病院がなくなってきていると話題になっています。


大石さんから会留府へ

ボストンでもあのチルドレンズホスピタルは別格の病院です。

息子は別の総合病院(ハーバードメディカル系ですが)の小児科の専門医にも時々みてもらっていますが、そこの待合いブースも遊園地のように広々としていて、遊具(家や車、レゴの大きい広場)などがおいてあります。最初見たとき本当にびっくりしました。

アメリカは医療費が高く、払える人たち向けにはとても豪華な病院がたくさんあります。また、通訳サービスもついていますし、緊急病棟以外で待たされることもあまりありません。息子の小児神経の主治医は、日本人(ハーフ)の先生で、日本語で診察してくださるので、親子とも気が楽です。

日本の主治医の先生が、アメリカは小児科医師と小児科外来、専門医の連携がすばらしく、配慮もされると思いますよ。と話していましたが、メールで日本人の先生が主治医になりました。と書いたら、本当に喜んでくれました。子供にとって自分の気持ちを話すことは、やはり母国語を理解してくれる先生が一番ですよね?

チルドレンズは、重病のお子さんも多く、寝ながら移動できるスペースもとられていて、天井もきれいにペイントされています。 又、エレベーターのボタンもすべて動物になっていたり、植物がついていたり、トイレも(撮影してくれば良かったですね)、かわいらしいです。

アメリカの小児科というのは、個人のクリニックでも子供たちがあきないように考えられて作られています。絵本も本当にたくさんおいてあります。


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ボストン在住ひいらぎさん一家
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