■読者のページ〜2001年8月〜
千と千尋の神隠し

10歳の女の子へのメッセージとしては、成功しているかも知れません。湯屋での仕事のリアルさは印象的です。

しかし余りにも、色々なものを詰め込みすぎた気がします。擬洋風建物だけでも凝りに凝っています。そこへ八百万の神が絡み、極彩 色なシーンの連続、やりすぎという感じの「オクサレさま」の汚さ……。

ここで、昔の新聞のベタ記事を思い出しました。「一部で評価の高いアニメ『風の谷のナウシカ』の監督が資金を出して、独立プロの記録映画『柳川堀割物語』を作ったが、上映する映画館がないのでスタッフがフィルムを担いで全国を自主上映して回っている」という記事です。柳川市のドブ川に清流を取り戻した実話の記録で、監督は高畑勲、もちろん実写 です。(スタジオ・ジブリ設立以前のことです。)

一度死んだ川は凄まじいものです。市のポンプ車を持ってきて(丁度『千と千尋……』の大湯へ湯を注ぐように)ホースの水圧でヘドロを押し流して、出てきた自転車なんかを人手でトラックに積み込んで、1メートル、また1メートルと掃除していくわけです。宮崎駿は現実はアニメよりひどいと思っているから、割と平気で「オクサレさま」のシーンを描いているのでしょうが、リアルすぎて閉口します。

ともあれ、湯屋の中で話が完結すれば納得できるのですが、極彩色のシーンに目が慣れた頃、急に銭婆の家までの列車の旅になります。(銭婆と湯婆は昔一緒に銭湯をやってたそうです。)

海の上を走る列車に乗っていくのですが、きれいと言うより印象が薄いという感じで、いつの間にか終わってしまいます。後半が描きたかったのなら、もっとフィルムを使えば良かったのにと思います。もちろん映画はいろんな要素・話が入っていいのですが。

そういえば、バラバラに入っているという印象のアニメをいくつか思い出しました。『魔女の宅急便』と近藤喜文監督の『耳をすませば』です。でも、2本の映画とも完成度は高いと思います。(高畑勲監督の『おもひでぽろぽろ』は、苦し紛れに大人時代の話を混ぜたという感じで、よほど宮崎駿に無理強いされたのかなァと思います。)

さて、『魔女宅……』『耳をすませば』『千と千尋……』の3本には共通性がありそうです。聞くところによれば、宮崎駿はシナリオだけで監督は若手を、と考えていたそうです。結局、実現したのは『耳をすませば』だけで、もし近藤喜文が生きていれば『千と千尋……』も監督したかも知れません……。

つまり、他人に提供するシナリオには、なるべく多くの材料を入れておこうという意図があったように思います。

もし若手の監督が、後半の列車の旅とか成長物語をメインにするのなら、それはそれでいいと宮崎駿は思っていたのでしょう。しかし、自分で監督をやる段になったら、成長物語にはしたくなかったのでしょう。宮崎駿は『もののけ姫』の後、自分の作品はシニア・ジブリで作るが、スタジオ・ジブリへのシナリオ提供は続けると言っていました。

監督を任せられる若手がいないのが問題なのですが、見方を変えれば、監督をやれる人は宮崎シナリオでなく、自分のシナリオでやりたいのだと思います。宮崎駿の後継者は、宮崎アニメとは違ったところから出てくるのかも知れません。


(高橋峰夫)

千と千尋の神隠し

この夏は入院予定の福田は早くも子どもとの夏の思い出を作るべく映画鑑賞に行ってきました!

初日の初回に行ってきましたよ!!ちゅらさん風に言えばいやあ〜!とってもよかったサア〜!私は大好きサア〜!あの映画ワア〜!!ラストのほうで甘酸っぱい気持ちになって……もはや私の場合、こんな気分は映画と本でしか味わえません……さみしいネエ……(*_*)

映画は今まで観てきたジブリの映画のシーンを思い出させる場面が所どころに感じられました。千尋が釜爺の所に行く場面 は『〜ラピュタ』で観たアングルみたいだし、豚になった両親の所に行く場面 は『〜トトロ』でお母さんの病院にたどりついた所と似ていたし……。

お祭り騒ぎは『〜ぽんぽこ』を思わせてくれました。ハクと千尋のシーンは『耳をすませば』ほどストレートでないけどほのかな恋心みたいのがあってねえ……レトロっぽいけど近未来的で、けど、最初と最後は現実世界で……おもしろかったです。絵がキレイでねえ……。そんなにメッセージ性を感じませんでした。

守昴は今ひとつの反応でしたが、芽生と私は今まで観てきたジブリ映画の中で一番よかったねえ!と感想を言い合って帰ってきました。最後に千尋がハクという少年(出会ったときから千尋をかばって励ましてきた味方)と別 れるシーンがあるのだけど、ハクがねえ「ここから先は僕は行けないんだ。決して振り返らず君は一人で行くんだよ。そうすれば元の世界に帰れるよ……。」みたいな事をいうのね……。

二人のつないでいた手がクローズアップになって静かに離れていくの……芽生がそこをすごく気にして「どうして決して振り返っちゃいけないの?好きなら振り返りたいんじゃないの?ハクも振り返って欲しいんじゃないの?なんで“振り返るな”って言うのか千尋はどうして聞かないの?」って私に聞くのよ!!くう〜!!!芽生にも少しだけ胸キュンがわかってきたのか?はたまた単純な疑問なのか……?

けど、ラストはこれでおしまいなの??って感じの終わり方で子どもにはそれでどうなったの??と聞いている子があちこちにいました。千尋のお父さんとお母さんはちょっとしか出てきません。

けど、わざわざ内藤剛志と沢口靖子を使う必要はないと思うのです。年齢不詳の巨頭老女は夏木マリでバッチリでした“絹の靴下”履いて欲しかったです!(^_^;)

その息子役の赤ちゃんがTV『涙をふいて』『ムコ殿』に出ていた子役の子です。プログラムの中に宮崎駿のこの映画への思いみたいなものがインタビュー形式で載っています。

どうやら、『ゲド戦記』『クラバート』『不思議の国のアリス』などの ファンタジーの要素が感じられる……と言ったインタビュアの問いに宮崎氏曰く、“色々なものが混ざっていて、『霧のむこうの不思議な町』からも発想のきっかけをもらっている”と言ってました。

さらに“僕はヨーロッパとか向こうの児童文学しかあまり読まないんですけど『クラバート』にしてもなんにしてもその殆どが伝承などの何か元になるものがあって書かれている。だからその元の影響力も大きい”と言ってました。

(Ms.Bianca)