★海からのおたより・20 〜2005年2月〜

昨年末のインドネシア・スマトラ島沖の大地震は史上最悪の災害になりました。南の楽園を襲った巨大なTUNAMI。あっという間に濁流は住民もリゾート客も町もすべてをのみこんで破壊してしまいました。さらにチリからは「TUNAMIが来る」、というデマがとんで住民がパニックになったというニュースも入ってきました。地震の多い日本でもいつ起こるかわかりません。海岸で遊ぶわたしたちも身近な問題として考えてみました。

南房総もあぶない!
館山市の海岸に近い通りには「津波に注意」の看板が電柱に取り付けられています。海面からその場所が何メートルの高さにあるのか一目でわかるようになっています。

海辺にはじめて暮らしたわたしが目にしたときには「三陸ではないし、津波は関係ない」と思い込んでいました。当時住んでいた家は海抜10メートルほどのところだったと思いますが、今回の津波は高さ10メートル以上、1キロほどの内陸まで襲ったそうですから知らないということはおそろしいものです。

先日のテレビの特番では巨大地震が房総沖で発生する可能性がある、と取りあげていました。実際、わたしたち家族がよく遊びに行く南房総の浜辺の岩には過去の爪あとを見ることができます。房総半島先端の野島崎灯台は81年前の関東大震災で隆起しました。島が陸続きになったところもあります。館山市の富崎では津波で70件もの家が流されましたが、元禄地震(1704年)の被害の教訓から住民は高台に避難して無事だったという話しが残っています。

一度、わたしも海辺で遊んでいるときに震度4の地震に遭ったことがありました。近くに係留してあったヨットが不気味に動いていたのが印象的でした。すぐに「津波」が頭をよぎり、海辺を離れましたが静かな海の地震は家にいるときと別のこわさを感じました。(三宅島の噴火による地震だったので津波はありませんでした)津波は潮が引かない場合もありますが、干潮時以外に潮が引き始めたら要注意です。パニックにならないように普段の状態を知っておくことも大切です。津波警報が出されると防災無線で避難を呼びかけることになっています。海辺で遊ぶときには潮と避難できる高台は要チェックですね。

館山だより・冬

冬の北西の季節風を南房総では「大西」とよびます。数日間吹き荒れ、砂混じりの潮風が吹きつけます。そして風がおさまるとおだやかな陽射しがふりそそぎます。館山の朝は冷え込んで氷が張ることもありますが、そのおかげで早い花を楽しむことができるのです。よく晴れた寒い日には、館山湾のむこうには富士山、伊豆半島、伊豆大島などが望めます。先日遊びに行きましたが、風は強かったもののすてきな宝物をみつけました。

アオイガイのおはなし
いつものように貝拾いをしていると打ち上げられたごみのなかから白く光るアオイガイを見つけました。英名ではpaper nautilus(紙でできたオウムガイ)といいます。貝というよりもプラスチックでできたもののように見えます。

かわいそうに踏まれてつぶれていましたがかけらを拾っているとすぐ近くにも落ちていました。先月(2005年1月)「リンドバーグ夫人の貝」として紹介しましたがおぼえておいででしょうか。和名は「葵貝」。2つ組み合わせると葵の葉に似ていることに由来するそうです。1つではわかりませんよね。

ノーチラスは「海底二万マイル」の潜水艦の名前にもなっています。(ディズニーシーのアトラクションにもあるようです)アンモナイトの生き残り、生きた化石「オウムガイ」をノーチラスといいますがアオイガイとは別の種類です。こちらは日本の海岸にまれに死んだ殻が打ちあがるそうですが、生きているまま漂着することはありません。鴨川シーワールドでは実際に見ることができますよ。

アオイガイはカイダコというタコのメスが卵を守るためにつくったゆりかごです。腕から分泌した殻のなかで卵をふ化するまで育て、いらなくなった殻は捨てられてこうして打ち上がるようです。オスは殻をつくりません。カイダコは海面に浮いて暖かい海で暮らしているそうです。海流にのって群れで移動し、この時期に日本海側に大量に漂着しますが南房総にくることはあまりありません。

今回アオイガイを3つ拾いましたが館山で拾うのは3センチほどの大きさのものがほとんどです。北陸では15センチほどのものが多いそうですが、なぜ千葉では大きな殻がみつからないのかはナゾです。

ゲッチョ先生も『ぼくは貝の夢をみる』のなかで館山のアオイガイについて書いています。アオイガイは軽いので波打ち際の海藻が打ちあがっている(高潮線)あたりにあります。無造作に歩くと宝物がこわれてしまうので気をつけてください。お母さんタコが作った殻は海をどれくらい旅してきたのでしょうか。ノーチラスには「船乗り」という意味があるそうです。わたしがうっかり床に落としてしまったアオイガイは意外にも割れませんでした。母の愛に包まれたあかちゃんカイダコが遠い海で無事に育っていることを願わずにはいられません。



千葉県立中央博物館には『地震と房総』の展示があります。
『ぼくは貝の夢をみる』盛口満 アリス館 ゲッチョ先生こと盛口氏は千葉県館山市出身。息子の愛読書です。

どんぐりつうしん変集長
谷口優子
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