★海からのおたより・19 〜2005年1月〜

千葉ポートパークを歩いてきました。風のない穏やかな凪(なぎ)でした。ポートパークは小さな人工の浜ですが、この1年、この浜でたくさんの出会いがありました。

『えるふ』の子ども講座に参加していただいた皆さん、寒川神社のお祭りの浜入り、校外学習の小学生たち、海の恵みを採る地元のおじさん、おばさんたち……。浜辺を歩く楽しみの一つは人との出会いです。何気ない会話からはっとさせられることが良くあります。本では分からない、生きた情報が拾えます。ポートパークが人工の浜だと知らなかった年配の方もおられましたが、渚が人々の憩いの場になっていることは確かです。
寒川神社のお祭り、浜入り。御神輿が海に入ります
レジンペットの被害はないけれど

先月の『海からのおたより』(2004年12月)で紹介したレジンペットは漁業被害が出ているのか調べても分からなかったので、実際に木更津ののり養殖をしている方に聞いてみました。ペレットは水面 に列をなして流れてくることがあるそうですが、のりへの直接被害はないそうです。12月始めにも大量 に流れてきたということです。それよりもスーパーなどで使うレジ袋の方が網に引っかかってやっかいだそうです。

ウミガメがえさのクラゲと間違えて食べてしまって死ぬ、という報告もあります。これは私たち一人一人が気をつけねばなりませんね。軽いゴミは強風で飛ばされることもあります。ゴミはちゃんと持ち帰りましょう!今回のポートパークでは、あまりペレットは目立ちませんでした。どこに行ってしまったのでしょう?木更津方面 に流れたのかも……。そのようなものが海を漂っていることを知っていただきたいと思います。

海のないところで育った私にとって海はあこがれです。私は子どもの頃から貝を集めてきました。3歳の頃、海水浴で拾ったサザエの殻をバケツいっぱい持って炎天下の鎌倉を歩いたことがあるそうです。祖父は遊びに行くと自慢の大きな巻貝に電球を入れて電気をつけて見せてくれましたし、母はタンスの引き出しに湘南で拾ったサクラガイを大切にしていました。父はデパートでよく珍しい貝を買ってきてくれました。貝は特別 なものではなく、いつもそばにありました。三つ子の魂なんとかでそれからずっと貝が好きです。

5年前にたまたま夫の転勤で館山に住むことになりましたが、海辺の生活は思ったよりも大変でした。自然派厳しく、「常春」のイメージとは違ってこの季節は「大西」と呼ばれる強い季節風に悩まされました。しかし風がおさまった海にはたからもの(私にとっては)が打ち上がります。館山でこの5年ほどで拾い集めた貝は数万個にのぼります。中には「幻の貝」もありますがそれに満足せず、千葉に転居した今も相変わらず海に出て貝を拾っています。時々見つかる貝に声を上げたりもしますが、なによりも行くたびに違う海の表情は素晴らしく、そして不思議なものです。


アン・モロウ・リンドバーグの『海からの贈り物』を久しぶりに読んでみました。内容は休暇で海辺に来たリンドバーグ夫人が拾った貝になぞらえて人生を語っていきます。そして海辺を去る夫人がほんの少しの貝を残して海に返します。「宝ものが多すぎる」と。
リンドバーグ夫人も拾った貝 千葉県産です。
上から時計回りに……つめたがい にし貝(テングニシ/アカニシ)
ひので貝(サメハダヒノデ)あおい貝 かき(カキツバタガキ)

私は欲張りなのでとにかく目に付く貝は拾ってきているうちに部屋には貝の入った箱が山積みになってしまいました。人生を振り返る余裕も今はありませんし、とても夫人のように「シンプルな暮らし」は出来そうにありません。でも浜を歩いていると時には哲学者のように人生のことなど考えてみたりします。打ち寄せる波を見ていると心が洗われ、潮の満ち引きは自然のパワーをもらえるそんな気持ちがするのです。

子どもたちがさざ波の立つポートパークの海にはまぐりの貝殻の破片を投げて遊んでいました。最近、館山では徐々に採れる貝が増えてきていることを実感しています。いつかこの浜にも埋め立てで消えたはまぐりが戻ってきてくれるといいな〜と思っています。

新しい年、また海辺ですてきな出会いと発見が楽しみです。



『海からの贈り物』 アン・モロウ・リンドバーグ 落合恵子訳 立風書房

どんぐりつうしん変集長
谷口優子
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