★海からのおたより・14 〜2004年8月〜

海水浴に行こう

夏休みもまっただ中、猛暑の続く今年の夏をいかがお過ごしでしょうか。海水浴に出かけた方もたくさんおいでのことと思います。

ぐるりと三方を海に囲まれた千葉には74カ所の海水浴場があります。その数は全国で一番です(※1)。東京から一番近い海水浴場の「いなげの浜」、房総半島南端の白浜町の「根本海水浴場」、銚子市の「海鹿島(あしかじま)海水浴場まで変化に富んでいます。家族連れの方には波が穏やかな内房がオススメです。県の水質調査でも最上級のAAにランクされています。保田や岩井への臨海学校に行ったことのある、おとうさん、おかあさんもいることでしょう。昭和50年代にピークだった南房総の海水浴客もこのところは訪れる人が減って、春の方が観光客は多くなっています。富津館山道が富浦まで開通 して便利になったこの夏、いろいろなイベントも用意されているようです。海水浴場はほとんどの場所が8月22日までとなっています。

クラゲに注意!

海水浴で気をつけなければいけない生き物は「クラゲ」です。水の中ではクラゲがいても気が付きません突然手や足をビリビリとした感覚が襲ってきます。最近ではクラゲの毒を予防するローションがあるそうですが。なかなか手に入りません。もし刺されたら、

1
刺されたときは針が入っているかもしれないので、こすらずに乾いたタオルで触手を取る。ライフセーバーがいる海岸では手当を頼む。
2
きれいな海水で洗い流す。
3
虫さされの薬を塗って炎症を抑える。
4
ショック症状が出ることもあるので そのときはすぐに病院へ。


電気クラゲと呼ばれる「アンドンクラゲ」や「カツオノエボシ」という浮き袋を持った青いクラゲは刺されるといつまでも痛み、その後かゆみが出たりします。「お盆過ぎるとクラゲが出る」と言われます。コンクリートの突堤や護岸などクラゲの卵がつくところが増えて、昔よりも数が多くなっているようです。

カツオノエボシ つぶすとプチンとなりました
デンキクラゲとも呼ばれる刺されると痛いクラゲ

「いやし系」のペットとして人気の ミズクラゲ(千葉ポートパークにいました)は触っても大丈夫です。水分が90%もあるので英語ではクラゲをジェリーフィッシュと言います。大分イメージ違いますよね。海水浴に「お酢」を持って行くといい、とも言われますがクラゲの種類によっては逆効果 になることもあるので注意が必要です。Tシャツを着ると肌の露出が少ないのでクラゲと日焼け対策になります。日焼けや熱中症に気をつけて楽しい夏の日を過ごしましょう!

「海ぼうず」って知っていますか?

「お盆に水に入ってはいけない」と昔から言われています。海水浴場はお盆でも閉鎖されることはありませんが、木更津の漁師「きんのりさん」は送り火を焚く日には足を引っ張られると言って絶対に漁に出なかったそうです。また、高知県の漁師ナガノさんもお母さんから「海ぼうずがでるき 泳ぎに行かれん」(足を引っ張られる)と言われたそうです。

日本のあちらこちらには「海ぼうず」の民話が残っています。波穏やかなお盆の夜こっそり船を出した漁師が、思わぬ 大漁に恵まれた後、「黒い大きなばけもの」〜「海ぼうず」が突然出てきて怖い目に遭う、というのがほぼ共通 するストーリーです。近いところでは幕張、浦安でも出たとか。勝浦、白浜 にも話が残っているそうです。そういうわけで「海ぼうず」は古くから漁師に恐れられてきました。子どもたちに「『海ぼうず』を知っているか」と聞いたところ案の定知りませんでした。本を買ってきて(※2)読んでやっても怖がらないのです。「あのさ〜、それほんとにあったのぉ?ぼく、もっと怖い話がのってる本持ってるよ!」と子どもの友だちに言われてしまいました。

海ぼうずの正体はなんでしょう?

「巨大な魚の化け物」とか諸説あるようですが、以前、館山の水族館でウミガメを見ていたら「海ぼうずはウミガメだ」と教えてくれたおじさんがいました。水面 に顔を出してプファア〜と口を開けるので、昔は船が手こぎだったので海の中にいきなり顔だけ見えた、と言います。つるつる頭で鋭い目、大きな口、誰もいない暗い海に突然現れたらどれほどの恐怖でしょう!

館山の海に打ち上げられたウミガメ


「西国の大洋に海坊主といふものあり。そのかたちすっぽんの身にして人の面 なり。頭に毛なく、大なるものは五六尺なり。」(随筆・斎諧俗談)

という「日本国語大辞典」の説明があるとナルホド、ウミガメ=海ぼうずという気がします。夏は産卵の時期に当たり、千葉県の沿岸によくやって来るようです。恐ろしい「海ぼうず」だけではありません。「ぐりとぐらのかいすいよく」にも「うみぼうず」 が出てきます。人間のお友達のようです。昼間子どもたちが遊びに行くとこんなかわいい「海ぼうず」が待っているかもしれませんよ。この子になら会いたいですね。

ご先祖様が帰ってきたお盆に殺生をしてはいけない、夏から秋への季節の変わり目で土用波が押し寄せるので注意するように、そんなことを「海ぼうず」の力を借りて語り継がれてきたのかもしれません。また、台風のうねりなど日頃海に出る漁師さんでさえ見たこともない生き物が沿岸に来て、それを「海ぼうず」と呼んでいるのかもしれません。たまちゃんみたいなアザラシ、市原に現れた深海魚「メガマウス」(※3)……そう考えると案外今でも近くの海に「海ぼうず」は出没しているのではないでしょうか。海に行ったら水面 を気にしてみてください。この頃はお盆でも船を出す漁師さんが増えてきているようですね。「海ぼうず」が出没しても漁師さんは忙しくて気付かないのかもしれませんね。

近頃は私でさえ、海に泳ぎに行くのは面倒だな、と思います。でも神話の時代から東西を問わず健康にいいとされてきた海水浴です。海で泳げるのは短い期間ですから シーズン中、一度は子どもたちを連れて行ってやりたいものです。打ち上げ物は少ないかもしれませんが、浜辺で見つけた宝物があったら、是非見せてくださいね。

※1

ちば観光まるごと紹介 http://www.pref.chiba.jp/kanko/index.html

※2

「うみぼうず」岩崎京子・文 村上豊・画 教育画劇

※3
千葉県立中央博物館 http://www.chiba-muse.or.jp/NATURAL/

どんぐりつうしん変集長
谷口優子
e-mail:taniguchi-donguri@nifty.com