★海からのおたより・9 〜2004年3月〜

3:千葉市の海・ポートパーク
かつてちばの海はあさりやはまぐりの採れる豊かな干潟が広がっていました。高度成長時代にどんどん埋め立てられることになった千葉の海にかつての面 影はありません。

千葉港のシンボル、ポートタワーの前にほんのわずかですが干潟があります。残念ながら人工の干潟です。周りはコンクリートに囲まれ、砂浜には芝が植えられているという環境なのではじめて見たときはちょっとびっくりしましたが、れっきとした海です。
江戸前・バカガイ

こんな小さな海にも「春」が来ていました。波打ち際に茶色ののりがたくさん打ち上げられていたのです。大風の吹いた後だったせいか貝だまりができて割れた貝殻がからからと波が来ると鳴りました。浜の一角の波打ち際に生きたバカガイとシオフキが打ち上がっているのを見つけました。東京湾名物の貝がこんなところでも息づいているのです。

ちなみにバカガイは市原市の青柳というところでバカみたく採れた、とか、口を開けてベロを出す(本当は足です)、はまぐりより味が落ちる、などが名前の由来のようですが、よく分かりません。この貝は丸ごとではなく剥き身で、貝柱を「小柱」、足を「舌きり」、「アオヤギ」と同じ貝でも別 々の名で売られています。「小柱」はかき揚げに、「アオヤギ」はうどやわけぎをつかって「ぬ た」にするととてもおいしい貝です。この貝の旬は春です。


ポートパークの干潟はアサリやバカガイの他にもたくさんの生き物を見ることができます。それらは市内の加曽利貝塚などで出土する縄文時代の貝とほぼ同じだといえます。前回の稲毛の浜も人口の浜でしたが、こちらの浜の方が埋め立て前の昔の干潟に近い状態のようです。


←江戸前の貝(いずれも食べられる貝です)
左上から順に:波間柏(ナミマガシワ)猿頬(サルボオ)汐吹(シオフキ)
左下から順に:鏡貝(カガミガイ)疣喜佐古(スボキサゴ)浅利(アサリ)

これからの季節は潮干狩りが楽しめますよ。ここの貝は天然物です。資源を大切にするために小さい貝は採らないでくださいね。

外国からやって来た貝
その中で、縄文人が食べたこともない、見たこともない、という貝もここにはあります。外国からの移入種です。ムラサキイガイは「カラスガイ」とも呼ばれる貝で、「ムール貝」として売られている貝です。大正時代に外国船の船底に付いてきたものが増えて、ブイやコンクリートの岸壁に集団で付着しているのをよく見かけます。

左側から順に:ムラサキガイ・ミドリイガイ・シマメノウフネガイ→

シマメノウフネガイは他の貝に付着する貝でこちらは北アメリカ原産です。ミドリイガイはムラサキガイに似ていますが、ごく最近(20年ほど前)東京湾に定着した貝で東南アジア原産といわれています。

これらの貝は東京湾の港からだんだんと生息する地域を広げているということです。本来は暖かい海の貝なので冬は越せないと言われてきましたが、温暖化のせいか、一度生態系の壊された人工的な環境の港で異常に繁殖しているようです。

私は黄昏時にここの浜を歩くのが好きです。クリスマスには日本一のクリスマスツリーになるタワーも今は犬の散歩に訪れる人がいるくらいでひっそりとしています。夕焼けに染まる海、幕張の高層ビル群に明かりがともる港の風景はなかなかムードがあります。

どんぐりつうしん変集長
谷口優子
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