| ■ベトナム便り〜2005年5月〜 これまでの連載を読んでいただいた方には、ある程度、水上生活者の暮らしぶりを理解していただけたかと思います。そこで今回は、彼らの仕事の状況を、もう少し詳しく説明します。
これまで、何人かの子どもたちの仕事をレポートしました。ごみ集め、窓枠作り、お供え用の飾り作り、市場での日雇い……。その他にも、お菓子の包装、紙の染色、ベビーシッター、宝くじ売りなど、様々な仕事をしている子どもがいます。しかし、重労働のわりに低賃金だったり、長時間の単純作業を強いられる仕事は、長続きしないことが多いようです。実は、1月号で紹介したティエン君も1ヶ月で仕事をやめています。
こうして自分の仕事を選ぶことができる子どもたちは、貧しいといえども、良いほうです。中には、夜中の3時から、家族と重労働に出かけなければいけない 子どもたちもいます。砂利採取の仕事をしている子どもです。
問題は、この重労働だけではありません。砂利採取は、明け方から午前中にかけて行われます。そして、昼休みを挟み、午後は、船から岸に砂利を運ぶ仕事に移ります。こうして、昼間はずっと仕事をしなければいけないため、子どもたちは学校に行けません。
センさんは、この仕事が子どもたちの教育機会を奪っていることを理解しています。しかし、「家族が食べていくために、この仕事を続けなければ」と言います。子どもが将来、安定した職につくために、教育を優先させるのではなく、収入が不安定でも、自分が今できる仕事を続ける。そして、砂利採取ができなくなったら、政府が他の仕事を紹介してくれるのを待つ。ほとんど教育を受けていない親たちは、より安定した収入を得るための転職をあきらめ、ぎりぎりの暮らしで今の仕事を続ける。これが多くの水上生活者の状況です。 私は、身動きが取れなくなっている彼らの苦しい状況を理解しているつもりですが、「その日、食事ができる分だけ働けばいい」というのではなく、「将来の暮らしを良くするために働く」、つまり、長期的視野で家計を考える必要があるように思います。これは、口で言うのは簡単ですし、親たちも分かっていることです。しかし、その日暮らしでずっと生きてきた彼らにとって、意識を変えることは、とても難しく、時間がかかることです。それも彼らは分かっています。耳が痛くなるほど何度も聞いた「生活改善」。 まずは、「なぜ生活改善が必要なのか」を考える機会を作り、その解決策を彼らに提案してもらう。そのようなきっかけ作りを、私は進めています。「言われたことをやる」のではなく、「自ら考え、責任を持って行動する」。これには水上生活者の大きな努力が必要とされますが、彼らが前に進むために必要なステップなのではないでしょうか。
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