ベトナム便り〜2005年1月〜

★男の子に会える場所

気がつけば、今までの連載に登場した子どもたちは、女の子ばかり。女同士のほうが話しやすいので、自然とこうなってしまいました。 しかし今回は、男の子たちとの会話に挑戦! そして「男の子だけに必ず会える場所」を発見しました。男の子たちに会える場所、それはゲームセンター。と言っても、日本のようにハイテクな機械はありません。

テレビは(どこから流れ着いたのか?)日本製の中古テレビ、 ゲームソフトは(明らかに)違法コピー版、椅子は興奮したら割れてしまいそうなプラスティック製。料金は1時間3,000ドン(約15円)です。

近所の人にロイ君の居場所を尋ねたら、このゲームセンターでした。 彼が夢中になっていたのは、日本の格闘技ゲーム。 日本語は分からないはずなのに、普通にプレイできている……。そんなことに感心していると、ロイ君が振り向いた!

★水のはなし

ロイ君(13歳)は識字教室の生徒なので、1年前から顔見知りです。でも、その程度で、一対一で話したことはありませんでした。ゴミ集めの仕事をしている彼は、他の生徒に比べると比較的大人しく、別の言い方をすれば「陰のある子」という印象でした。

水上生活者ではめずらしい、一人っ子で片親のロイ君。 2人きりで私と話すのは恥ずかしそう。最近、子どもたちの仕事について調べている私は、彼にも仕事の話題をふってみましたが、ゴミ集めの仕事については会話が弾まず、他の職に就くあてもないとのこと……。ロイ君、しょんぼり。


ロイ君

盛り上がったのは水の話し。きっかけは、ふと目に留まった「糸が巻きつけられた缶」。何かと思ったら、釣竿の代わりでした。洪水の時などに魚が釣れるそうです。二人で川面を眺めながら「川の水汚いね。」と言うと、「そんなことないよ、きれいだよ。」との答え。「えー、すごい色だよ。もしかして、川の水で身体洗ってる?夏は泳いだり?」「うん。でも、やっぱり海の方が水はきれいだね。しょっぱいけど。タクシー借り切って海に行ったこともあるんだよ。」「そ。っかぁじゃあ、来年の夏は、私と自転車で行こうか!」

ロイ君の元気な笑顔を見ることができたことで話を終わりにしましたが、仕事や衛生面の問題が浮き彫りになる会話でした。

魚釣り

★いたずらっ子2人組

ロイ君との話しが終わり、ゲームセンターに自転車を取りに戻ると、またもやゲームに夢中になっている識字教室の生徒を発見!しかも、最もわんぱくな2人組、ティエン君(13歳)とホイ君(16歳)。

手に負えないほどイタズラ好きな2人ですが、私は彼らの笑顔の大ファンです。格闘技ゲームでホイ君が大勝すると、船に案内してくれました。
黒いTシャツを着ているのがホイ君

ホイ君は数ヶ月前から窓枠(鉄製)を作る仕事をしています。週4or5日、7〜17時まで働いて、一ヶ月の収入は10万ドン(700円)。「今日は仕事休みなの?」と聞くと、「頭が痛いから休みをもらった」との答え、「頭が痛くても、ゲームはできるんだ」とつっこむと、頭をかきながら苦笑。
一方、ティエン君は2週間前から、お祈りの時に使う紙でできた飾りを作る仕事を始めました。まだ研修中なので、給料はもらっていませんが、以前やっていたゴミ集めの仕事よりもずっと安定しています。この仕事を紹介してくれたのは親戚だそうです。

水上生活者だけでなく、ここベトナムでは親戚の紹介、つまり「コネ」で職に就く人の割合が高いと言われています。親戚のコネがない水上生活者は、仲介業者を通して日雇いの仕事に就きます。もちろん労働条件は良いと言えませんが……。
ティエン君

ベトナム政府や海外援助機関の支援により、貧困層の青年を対象とした職業訓練教室が数多く開かれてきましたが、問題は、「ある程度の技術を身につけても就職先がないこと」です。職業訓練所に通い、ミシンやバイク修理の技術を身につけても、ストリートチルドレンに戻ってしまう子どもたちがいるのが現状です。この状況を改善すにるため、私も役に立ちたいと思っているのですが、簡単に解決策を出せるような問題ではありません。

★今月の行事:“友達と祝う”クリスマス


ベトナムにもクリスマスを祝う習慣がありますが、クリスマスを誰と祝うか?それは国によって違うようです。欧米では家族と、日本では恋人と祝う人が多いようですが、ベトナムでは友達と祝うのが一般的です。もちろん正式なクリスマスを祝うキリスト教徒もいますが、多くのフエ人は礼拝に出席せず、教会のライトアップを見るためにバイクで街を走ります。イブの夜は夜中2時まで遊んでも大丈夫!とクリスチャンの友人は言っていました。私は友人たちとカフェで12時過ぎまで話し込み、静かなクリスマスを過ごしました。

★レンちゃんのつぶやき:「サンタが来ない。」

クリスマスの次の日、いつものように水上生活者に会いに行きました。子どもたちに、昨日は何したの?友達と遊びに行った?などと質問をしていたら、レンちゃんが小さな声でつぶやきました。

「クリスマスの日、サンタはプレゼント持って来なかったよ。」返す言葉がすぐに見つからず、「私にも(サンタは)来なかったよ。笑って写真でも撮ろうか?」 と、ごまかしてしまった私。でも、満点の笑みを見せてくれたので一安心。来年はサンタが来るといいね、レンちゃん!
レンちゃん
古関 陽子 y_koseki@hotmail.com