■ベトナム便り〜2004年11月〜
大抵、水上生活者の子どもと仲良くなると、船に呼ばれ、その子の家族とも話しをすることができます。しかし、私は今までトゥイの家族に会ったことがありませんでした。「ご両親はどんな仕事をしているの?」と聞くと、「ちょっと離れた村で植木の栽培をしている。」との答え。「じゃあ何時に帰ってくるの?」と聞くと、「テト(旧正月)まで帰ってこない。」という。旧正月は2月中旬。どういうことなのか詳しく聞いてみると、ご両親は、泊り込みで植木の栽培・管理をしているとのこと。そして、トゥイは両親に代わって、船を守っているのです。昼食は自分で作り、1人で食べ、夜は、2人のお兄さんが帰ってきて子どもだけで寝るのだとか……。「両親と一緒に眠れないのは、寂しくない?」と聞くと、「寂しいよ。でも、しょっちゅう両親のところに遊びに行くから大丈夫。明日、一緒に行く?自転車で行けば、あまり遠くないよ。」というわけで、次の日、トゥイを自転車の後ろに乗せて、ご両親に会いに行くことにしました。3つの橋を越えて……。迎えてくれたのは、トゥイと同じ顔したお母さん。お兄さんもそっくり!
そして、完成した服は山岳少数民族に寄付されます。貧しい子どもたちに職業訓練の場を提供すると同時に、少数民族の人たちに服を寄付するという活動に、私は深い感銘を受けました。今度は、少数民族に会いに行きたいです!
平日の夜7〜9時、トゥイは識字教室に通っています。通い始めてから、4年が経ちました。生徒は20〜30人で、そのほとんどが水上生活者です。多くの生徒は、昼間はゴミ拾いなどの仕事をしていて、トゥイのように、職業訓練を受けている子どもは少数です。授業は、ベトナム語(書き取りと読み)と計算。先生は人民委員会の職員であるフォン先生です。授業は、教科書に沿って、先生が一方的に進める形式なので、これでは少しつまらないのでは?と思い、私は、日本の切り紙や折り紙を教えることにしました。折り紙で魚を折りながら、「今日は魚食べた?魚の名前いくつ言える?」などと質問したりしながら。また、私がリコーダーを吹き、子どもたちが歌を歌うこともあります。みんなとても元気なので、体力を奪われますが(笑)、彼らの笑顔を見ていると、不思議と「もっと楽しませたい!」という気持ちが湧いてきます。
うまく話せないベトナム語での調査は、私にとって大変な仕事です。それでも続けていけるのは、調査の合間で会う子どもたちの笑顔がエネルギーになっているからかもしれません。トゥイの笑顔も私にとって大切なエネルギーです。そして、彼女が学ぶ姿を見ていると、将来どのような大人になるのか楽しみです。きっと、素敵な洋服を私に縫ってくれるでしょう!
途上国の中には、女性の社会的地位が低く、それが貧困要因の一つとされている国もありますが、ベトナムでは逆に、日本の男性優位 社会を非難されることが多いです。ドラマ“おしん”の影響か、「日本では、奥さんが旦那さんの靴を磨いたり、家事を全部やるんでしょ?ベトナム人のお嫁さんになる方が楽よ。」なんて言われたりします。それは相手にもよる気がしますが……。 今年の婦人の日は、水上生活者に誘われて、婦人会主催の「日帰り温泉旅行」に参加しました。温泉といっても、日本のような「肌がツルツルになる温泉」ではなく、「肌が荒れそうなほど汚れた温泉」ですが、フエでは人気の娯楽施設の一つなのです。私はこの温泉にもう5回も行ったので、温泉自体には少々うんざりしているのですが、水上生活者なのに泳げないことが分かったり、楽しい一日でした。
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