■ボストン便り〜2004年8月〜
アメリカの子供はどこの小学校でも星条旗と国歌に対する態度の教育は厳格に行われます。そのためか、小学校のイベントからメジャーリーグの試合まで、国歌斉唱・国旗掲揚の時は、あの日ごろいたずら好きなアメリカの子たちが〜大人も〜と感心するほどきちんと敬意を表します。無論自国の国旗だけでなく他の国の国旗にもちゃんと敬意を払ってくれてます。小学校のイベントで、日本の国旗や他の国の国旗を掲げるときも、ちゃんと星条旗と他国の国旗の高さに上下が無いか、大きさはいっしょかなどと子供ながらに一生懸命調整してくれます。 今年の7月4日はアメリカ史上初めて星条旗が半旗で掲揚される独立記念日となりました。レーガン元大統領が死去されたことへ弔意を示す大統領令が出ている為です。映画の題名にもなったくらいですが、7月4日独立記念日、この日はアメリカで最も大がかりなお祭りが全米で行われる日です。 ボストンは、チャールズリバー両岸のストロードライブとメモリアルドライブという大動脈を一日閉鎖し、夕方からは川岸のハッチシェルという屋外ステージでボストンポップスの無料コンサートが開かれます。オープニングはもちろんアメリカ国歌。エンディングにはF15の4機編隊がスモークを焚いて轟音と共にチャールズリバーにそって超低空でオーバーパスしていくと、観客の盛り上がりは最高潮に達します。 チャイコフスキーの大序曲1812がいつも定番で、エンディングにはちゃんと本物の大砲で空砲の音と花火がついてきます。1812は最終的にフランスがロシアに負ける曲で、最初は勇ましいラ・マルセイエーズをいつのまにかロシアの民謡のフレーズが圧倒するという構成なのですが、独立戦争当時アメリカはフランスと比較的良好な関係を保っていたような……。ハッチシェルの一番良い席は今年はNavyとついこの間まで極東からイラクにかけて駐在していたArmyのオフィサーが並びます。イラクへの派兵に関してアメリカ世論が揺れているという報道が日本では盛んな様ですが、少なくとも、その是非はどうあれ、最前線でアメリカという看板を張っている人々に対する敬意は並大抵の物ではありません。多分、彼らに対する敬意はアメリカという国家の統合に対する信念と殆ど等価で、そのためベトナム戦争後半-終結後のベトナム帰還兵に関する感情が、一時期アメリカのアイデンティティの喪失につながっていたのも解る話です。イラク戦争に反対している民主党のケリー候補が、いくらそこが政敵の辞書に出来るほど沢山ある弱点の最大の一つで在るとは言え、ベトナム戦争での輝かしい軍歴を正面に出して選挙戦を戦っているのは、日本から見ると矛盾して見えるかもしれませんがアメリカ人のメンタリティからしてみると全く違和感が無いようです。
しかし、今を持って売ることもやることも禁止されているのが「花火」です。線香花火から専門業者による打ち上げ花火まで、およそ花火一般この州では禁止されていまして、例のごとくニューハンプシャー州ではマサチューセッツ州民目当てに州境のショッピングモールで大量に販売しております。マサチューセッツ州花火禁止令の唯一の例外がこの7/4の花火と新年の花火です。 この日ばかりは、近所迷惑を顧みず4チャンネルの特番をみんな大音響でかけて、ハッチシェルのボストンポップスの演奏を町じゅうラウドスピーカー状態にして、バルコニーで花火けんぶつとなります。
さて。2度目の独立記念日の花火も見終わって、我が家もいよいよ日本に帰ることになりました。16回のお便りはお楽しみいただけましたでしょうか。また、我が家からお手紙を書くことになるかもしれませんが、そのときはまたお読みいただければ幸いです。ではそのときまで。
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