■ボストン便り〜2004年6月〜
私は小学校の頃スイミングチームに所属していました。 過去にオリンピック選手なども輩出している強豪チームで、練習中にちょっと気を抜いたタイムでも出そうものなら1年生だろうと2年生だろうとバシッと殴られるという一本筋の入ったチームでした。 優しいコーチはは竹刀で殴ってくれる、ちょっと恐いコーチはデッキブラシ、極めておっかないコーチは塩ビの細い水道パイプという、今から考えると良くまぁ閑古鳥が鳴かなかったものだと不思議に思うようなチームでした。ちなみにデッキブラシの柄は竹の棒ですから殴られてもこつんという感じで点接触で済むのですが、塩ビのパイプは撓りがはいるので「ビシッ」ときまして被害エリアが線状に拡大しまして……。当然ながらチーム内は厳密にタイムで分けられていまして、タイムが悪いと競技会など全く出場できません。これだけのチームで練習していれば流石に学校では水泳は並ぶものが無かった状態ですが、チームでは後ろから勘定したほうが速いタイムで、殴られ損の日々が続きました。 「こうした事を今日の道義観をもって見るのは当らない。美食家の斉の桓公が己のいまだ味わったことのない珍味を求めた時、厨宰の易牙は己が息子を蒸焼にしてこれをすすめた。……すべてそのような時代の話である。」(名人伝・中島敦) 泳いでいる当の本人はもう辞めたくて泣きながら練習してるんですが、辞めるともっと怒られそうでなかなか辞められない、と星飛馬を髣髴とさせる小学校の頃のスポーツの古傷を私は持っております。自分の息子にもスポーツをさせるに置いて同じような事態を想定しないでも無かったのですが、息子のサッカーはまるで正反対。楽しくて楽しくてしょうがないらしいです。 息子たちのチームの練習を見ていると国情の違いというか世代の違いというかをひしひしと感じます。大体父兄がサッカーコーチをやっていますので、どのチームも練習は木曜日や金曜日の5時頃からになりまして、その時間はどの公園もサッカー練習の子供たちで一杯になります。そのため、ちょっと早めに公園に行って、ちょうど上野公園の花見のように小さな三角コーンを立てて練習コートを陣取っておくのが親の勤め。5時ごろになると三々五々子供たちが集まってきて、ドリブルやパスなどをして練習を始めます。ここまでは順調なのですが、しばらくすると、友達が練習コートの脇を通り過ぎればパスの練習をほっぽりだして世間話に話を咲かせ、シュートの練習中に林の中に転がっていったボールを捜しに行った子は公園の池のほとりのカナディアングースを追いかけているんだか追いかけられているんだか。 なかなか度胸の座った練習をしている割に、練習試合を始めると急に得点にシビアになって、得点されると号泣してグラウンドの真中で大の字になってストライキする奴もいます。
流石にコーチが「こんな練習やチームワークで明日の試合に勝てると思うのか。ちょっと円陣を組んで。話をしよう」というと言われた通りにどっかと円陣を組んで座って今日のcartoon networkの番組は云々と子供同士で世間話を始めます。 「どうしたら皆でチームワーク良くサッカーが出来ると思う?意見のある子は手をあげて。はいジェレミー君」「ぇえと。みんなが仲良くなるようにすれば良いと思います。そのためには、ぇえと、みんなで明日プレゼントを持ってきて交換すれば良いと思います☆」「ぅぅん。いい考えだね」ちょっとフォローに困るアイディアにはコーチは固まっていますが皆は気にしません。
コーチが「あと30秒で終わるからちょっと我慢して話を聞きなさい」というとサットン君が 「30,29,28……」とカウントダウンし始めて、これは一言言い聞かせないとまずいとお母さんが血相を変えてすっ飛んできて「やめなさい!(怒)今日はもう練習止めて帰ります!」サットン君と叱り飛ばしている間に30秒間のコーチの説教と共に練習はもうとっくに終わってます。 金曜日がこの楽しい楽しい練習で、翌日の土曜日が対外試合です。明日は強豪チーム「ロケッツ」との試合が10時から。暑い日に熱い試合に備えて、今のうちからいっぱいレモネードでも作っておきましょう。 |
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