■ボストン便り〜2004年5月〜

PEIまで何マイル?


4月の第3週、イースターから一週間息子の学校はお休みになります。気候も良くなってきたことだし、と春の観光シーズン、我が家はプリンスエドワード島に旅行に行ってまいりました。(まだまだプリンスエドワード島はオフシーズン。) "赤毛のアンの島"として有名なカナダの観光地です。

さて明日は出発だ、パスポートもOK、ビザもOK、滞在許可証のサインもOKなどとチェックをしながらふと思い立って"車でカナダ"とgoogleしてみますと、車の保険会社からカナダ用のカードを手に入れるべしというサイトを見つけて、まずここで私の頭に「家の車の保険は果たしてカナダをカバーしているのだろうか?」という根源的な問いかけがヒットしてしまいました。

とはいえ現在11:00PM、保険のブローカーはシカゴで、オフィスがオープンするのは明日の10時@中西部時間。じりじりしながら明朝を待ちます。11:00になってブローカーに電話をかけると、3回ほどたらいまわしにされた挙句にボイスメールに「ちょっと遅くなりますから云々」と応答されてしまいます。ぅーん。ちょっと行くのを考えたほうがいいかな……。

しばらく何度か連絡をしてやっと担当者に繋がって、初めて我が家の保険はカナダはOK、但しカードは必要なので、ブローカーの文書セクションのfax番号に大至急と書いて必要事項をfaxすれば一時間以内にfaxかE-mailで届く、という情報を得ました。早速書いてfax送信。もう昼をまわっております。

単純に待つのは非常に苦手な性格ですので、とりあえず昼食を食べて一休み、後片付けをして1時を過ぎて1時30分を過ぎても何の返信もありません。もう一回faxのUrgentのフォントを72ポイントほどにして送ってみます。

30分経過。

流石に文書セクションに電話を入れてみますと、「今日は昼から機械の工事で3時頃までこの部門は受信した文書を取り出したり送信したり出来ません。しばらくお待ちください。……一応お客様の証券番号を……お客様の契約だと別にカードなどは必要ありませんが……」

こうやって文章で書くと意外とすんなり電話が繋がったような感じがしますが、この間実際には交換手の声が殆どノイズにかき消されるほど小さかったりプッシュトーンで「建物の保険は1を、旅行保険に関する質問は2を、自家用車に関する質問は……」というメッセージが異様に早口な上に聞きなおすファンクションが無かったり、転送中にいきなり切られたりとかなりな苦労を重ねております。

「本当なんですね。あなたの名前を控えさせてください(怒)」
久しぶりにアメリカの組織と一戦交えた感触を得ましたが、これで何の心配も無く出発できるようになりました。

普段NYに行くときと反対方向に高速道路I-95を走っていくと、マサチューセッツ州からニューハンプシャー州、メイン州を抜けてカナダに入り、ニューブランズウィック州を通り過ぎるとプリン スエドワードアイランド州です。ニューハンプシャーまでは買い物で(注)よく行きますからいいのですが、そこから先は未知の世界です。

注:ニューハンプシャーは消費税が無く、しかもボストンから車で30分ほどですからボストニアンの買い物天国となっています。特に、最近若干緩和されたとはいえまだまだお酒の販売や所持に厳しいマサチューセッツ州と違って、アルコール販売に寛容なニューハンプシャーはなんと高速道路のレストエリアに州経営の酒屋が早朝から深夜まで営業してボストンの酒飲みのニーズに応えてくれてます。


I-95はアメリカ東海岸を南北に走る大動脈です。ボストンから南下する場合は途中いくつかの都市で渋滞に巻き込まれたりしてまあそれなりの交通量があるのですが、北に向かうとインターチェンジ毎に車が減っていき、しばらくすると前も後ろも見渡す限り車が無い状態になります。更には見渡す限り前も後ろも直線の高速道路が続き、小一時間ドライブインも無ければインターチェンジも無く周囲は森の中、視野に入る人工物は自分の乗っている車と道路だけというアメリカ大陸の広さを実感させてくれるドライブです。

高速道路の踏み切り

流石におやつを過ぎてからの出発でしたので初日はメイン州の北方のBangorという大きな町にモーテルを借りて一泊します。息子に「モーテルって何」と質問されましたので、「アメリカやカナダの高速道路のICのそばにあって、主に車で旅行する人のために営業してる小さ目のホテルだよ」と説明してあげます。今回とまったモーテルは結構当りで、価格の割にはクイーンサイズベッドが二つ、大きなバスルームと独立した洗面台があって、その上に無線LANが無料です。早速laptopを繋げてメールをチェックするとなんと保険会社からメールが来ていて、「このカードを携帯していてください」と添付ファイルが着いています。昼間のやり取りはいったいなんだったんだろうと思いつつも、フロントに行ってプリンターを借りてカードをプリントアウトして車に入れておきます。

翌日、I-95が内陸部をかなり迂回するあたりで高速道路をおりて州道を走っていくと国境につきます。これまで飛行機や船、列車、バスでの国境越えは経験しているのですが、初体験の車での国境越えでちょっと緊張していたのですが、国境のゲートでは行く先と目的を聞かれただけですんなりと通過してしまいました。この田舎道を走っている間も殆ど対向車も後続車もありませんでしたからこのルートで国境を越える人もあまりいないのでしょう。のどかなものです。

カナダの高速道路 (例)

またカナダの高速道路CT2に戻って北上を続けますが、高速道の車の数は減る一方です。そのうちに反対方向へ走る車ともすれ違わなくなり、交通量の少ない事の象徴のような「高速道路の踏み切り」などという日本では-アメリカでも-ちょっと考えられないような代物にも出会いつつ、北へ向かいます。ニューブランズウィック州も北の端になりますと、高速道路も上り下り1車線ずつになって、傍から見るとただの田舎道のような感じになりますが周りのカナダナンバーの速度は全く変わりません。

途中のMonctonという町でMagnetic hillという有名な丘を見つけました。日本でも群馬県や久米島にもあるのですが車が丘の頂上に引っ張られてしまう、というお化け坂の一つです。そういえば子供のころ「世界の七不思議」系の本でナスカの地上絵の隣のページで見たような……。最近この手の本にはまっていた息子もちゃんと読んでいて大喜びです。

Monctonの場合は丘の頂上に強力な磁性体があるのではという噂が最初あったので Magnetic Hillと名づけられています。ちゃんと地名になっていて、Magnetic hill golf course とかMagnetic hill schoolとかMagnetic hill Innとか、さまざまな施設の名前になっています。Magnetic hill schoolの科学の授業を受けてみたいところですが。

Magnetic hill 車がターンしてるあたりが丘の下 (に見えるところ)

実際には周辺の景色や地形からくる錯覚で、本来上り坂である坂がどうしても下り坂に見えるため、丘を降りて(実際には登って)ギアをニュートラルに入れると車が自然に丘を登る(実際には下っている)というのが種明かしなのですが、Monctonの場合は坂が大きく、しかも風が強いためか坂の両脇の林がみんな揃って斜めに生えていまして、とても"謎の場所"らしく見えます。

ニューブランズウィック州はこれといった産業が無いため観光地育成に注力していて、このMagneticHillも周辺をテーマパーク化しているのですが、この時期はシーズンオフのためテーマパークはお休みでMagneticHill付近には誰もいません。坂への入場料$5を払おうにもどこにも係員もいないし……。というわけで丘を降りて(実際には登って)丘を登って(実際には下っている)丘を降りて(実際には登って)丘を登って(実際には下っている)丘を降りて(実際には登って)丘を登って(実際には下っている)……バックでやったり、一番下で方向転換をしたり歩いてみたり。歩くと確かに丘を登っているのに丘に引っ張られるような不思議な感じがしますし、車はするすると丘を走っていきます。日が暮れるまでお化け坂を堪能させていただきました。

あとプリンスエドワード島まで107マイル。全行程の5/6をやっと消化しました。初めての車での外国旅行は目的地に到着するのでしょうか……。

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ボストン在住ひいらぎさん一家
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