■ボストン便り〜2004年1月〜

バースディパーティ

出航した時点では清教徒たちはバージニア植民地を目指していた。現在のNY付近である。

が、出航時にトラブルがあり2ヶ月近くを浪費していたため、ケープコッド付近にたどり着いたのは11月初旬であった。合計4ヶ月を超える船旅は清教徒たちにとってはもはや限界であり、彼らはバージニア植民を断念しプリマスに入植することに決定した。しかしニューイングランドの冬は過酷であり、最初の冬を越した時点で入植した清教徒の人口はほぼ半数に減少していた。

……って本当に寒いんです。なんか研究しに来ているんだか越冬しにきてるんだかわかりません。せめてもうちょっと南のほうにたどり着いていただけたら、ボストンももう少し暖かくて、大学から帰る時に30分もかけて車を雪から掘り出さなくても済むのにと寒空に一人想うボストンの冬です。

12月は私のプレゼンテーションの締め切りがいっぱいで、初旬から中盤にかけてほとんど24時間営業の日々になります。大学の建物の中はスチームで24時間暖かいのですが(注)、外は大雪だったりしまして、そんなことしているうちに屋外にとめてある車は雪にうずもれてどこにあるかも定かではなくなったりします。しかし12月は息子にとっては夢の1ヶ月です。初旬に誕生日・終わりごろにクリスマス・そして年が明ければお年玉 と、まさに盆と暮れと正月がいっしょに来たような日々になります。

注:ここらへんだと、夜や使用していないときに暖房機器を止めると大変なことになります。給湯管が凍結して破裂する恐れがあるため、建物は必然的に24時間常時暖房です。大学一帯に供給するボイラーから地下のパイプを通 してスチームを引っ張っていますので、よく「冬のNYの街角」みたいなマンホールからスチームがもくもくと立ち上る風景が初冬のうちは彼方此方で見受けられます。地中配管が老朽化して漏れている証拠ですね。


アメリカの小学校では、低学年のうちはクラスでバースディパーティを開くことができます。


事前に先生に「来る何月何日は息子/娘何某の誕生日につき菓子等持参し学級で晩餐を催したく候」とお手紙をかくと、「じゃあ何時ごろ持ってきてください。ただし、誰々はコーシャーなのでコーシャーケーキを/ムスリムなので/ヒンドゥーなので(略)」というお返事が返ってきまして、カップケーキとパック入りのジュースなどを持参いたしまして簡単なお祝いのパーティをいたします。

このカップケーキとは、カップ型のスポンジケーキの上にIcingというアメリカのケーキに定番の激甘生クリームもどき(卵白と砂糖とコーンシロップでできてます)が乗っているアメリカ小学生の定番のお菓子です。

うちの息子の時は、ちょうど日本文化に関する授業をやる日でもあったので、家からコタツを持っていってクラスで説明をしたりして楽しいクラスのパーティとなりました。誕生日の子ども達は、「birtyday star」というお星様のシールを胸に貼ってもらいます。息子は、先生からもちょっとしたプレゼントをもらいました。

学校以外でも、小学校3年生くらいまで保護者主催のパーティを開きます。会場は家でやることもありますが、ボーリング場やゲームセンターや、いろいろなファーストフードレストランで行います。

大抵こういった施設はパーティルームを持っていて、たとえばボーリング場なら1時間ぐらいボーリングをして、その後パーティルームでピザやケーキを1時間くらい食べて、最後にプレゼントの交換(主催者側もちゃんとお返しの$3〜$10程度のプレゼントをGoodyBagと言って準備しておきます)をしておしまいです。

ゲームセンターならtokenを10枚くらい貸し出してくれて自由に遊べるとか、という感じです。

日本に比べると結構気合が入っていて、子供の一大イベントになっています。

さて、うちの場合は大学のプールでやることにしました。ちょうど去年立て替えたばかりの真新しいプールなので設備もきれいです。真冬に暖かい屋内プールって言うのも一寸趣向が変わっていて面 白いかな?というわけです。

当初、12月最初の土曜日に開催する予定でした。前日の夜かなりの雪が予想されたのですが、ボストンのことなので昼間降ってなければ除雪車が走り回って道路は走れるので問題ない予定でした。が、生憎前線の移動が少し遅くなって、当日のまさに昼間、3フィートほどの大雪+吹雪となってしまいました。

こうなるとさすがの雪国でも移動できなくなってしまいますので、泣く泣く参加者に延期の電話をかけました。幸運なことに、2週間後のパーティ当日は雪もなく穏やかな天気。みんな真冬のプールに大喜び……一部金槌も散見されましたが(注)……でした。

注:日本の小学校ではプールは必修ですから、大抵の子が2年生にもなれば足のつく浅いプールで遊ぶくらいは日常茶飯事ですが、ボストンの場合水泳の授業なんてありませんから(というか体育の授業がほとんど楽しくボール遊びくらいですから)結構泳げない子がいます。ちなみに、うちの学校では川上のLiberal-artsの小さな学校と呼ばれてる(明白に負け惜しみですが)Harvardでは70年代まで卒業試験のひとつに“50ヤード泳げること”というのがありまして、彼らは本を頭に詰め込みすぎているので沈んで泳げないのだとからかっておりました。

泳ぎ終わるとみんな疲れたのか、きちんと席についてピザとおにぎりとTeriyaki-chickenを食べて、ケーキを食べて、プレゼントを交換して、楽しく誕生会が終わりました。おもしろいことに、日本の子どもたちはピザを最初に食べ、アメリカの子ども達は、おにぎりやテリヤキチキンに目を輝かせていました。普通 の誕生会だとみんな走り回って大騒ぎなんですけど。お友達のお母さんからは「これはいいストラテジー(戦略)だわ」と誉めてもらいました。

感想などお便りを下記あてにお送り下さい
ボストン在住ひいらぎさん一家
ami_tag@d1.dion.ne.jp