★例年夏休みにはいつも読むことが出来なかった本をまとめて読むのだけれど、やあ!やっぱり暑くて何ページか読むとすぐ眠くなってしまうありさま。加えて、9月1日早朝売り出しという馬鹿馬鹿しい“ハリー・ポッター騒ぎ”を控えて出版点数も少なめな中での新刊のおすすめです。


★詩の絵本、一冊は写真、一冊は絵、コンビネーションが違ってもどちらもとても美しい絵本の形をした詩集です。

あいうえお、だよ
作 長田弘
絵 あべ弘士

角川春樹事務所:定価1,470円
(税70円)

“ことばが5つ”ではじまるあいうえおの詩はちょと哲学的。そして画家の描くラッコもちょっと哲学的!?というかこれまでのただ親しみやすい絵というより、シュールな絵でとても美しい絵本です。

あさ
谷川俊太郎/文 吉村和敏/写真(絵本)

谷川俊太郎/文 吉村和敏/写真(詩集)

アリス館
:定価1,365円
(税65円)

変わった造りになっています。左から読むと『あさ』という詩の写真絵本で、右から読むと12編の『朝』に関する詩が載っている詩集の形式になっています。写真はとてもきれい。
(新しい形のビジュアルブックとされているけれど、ちょとうるさい感じがしないでもない)

★外国の絵本が元気です。描き方も使われている材質もほんとに様々、子どものように何度も絵を見てしまいます。

蚊とうし
文=ヒョン・ドンヨム
絵=イ・オクベ

訳=おおたけきよみ
アートン:定価1,575円
(税75円)

韓国の昔話シリーズ5冊目。大型の絵本です。
とてもリアルな絵で小さなうるさい蚊、ゆったりとした牛、特に牛の表情がよく描かれています。

エレーナのセレナーデ
文 
キャンベル・ギースリン
絵 アナ・ファン
訳 小島希里
BL出版
:定価1,575円
(税75円)

ガラス吹きになるのを目指して修行する元気な女の子の話です。
立体的な描き方がされている絵は不思議な雰囲気があります。スペインの本です。

のねずみタイニィの
だいぼうけん

さく マーティン・ウォーデル
え ジョン・ローレンス
やく いしいむつみ

BL出版:定価1,365円
(税65円)
ねえさんねずみケイティとおとうとねずみタイニィはいつも仲良しで一緒に遊びますが、かくれんぼの途中タイニィは恐ろしい(?)ものを見つけます。
木版画で少し長細い版型が森の中の冒険をよく描いています。
しあわせな おばあちゃま
ドロシー・クンハート文
J・P・ミラー絵

木原悦子 訳
ほるぷ出版:定価1,470円
(税70円)
ティクルフェザーおばあさんは大きな海鳥ポールと一緒に暮らしています。その仲良しのポールがある日いなくなってしまいます。
おばあさんの絵がとっても可愛いですよ。

なんでしょ なんでしょ
高畠純
アリス館
:定価1,365円
(税65円)

ちょっととぼけたペンギンが砂浜で絵を描いています。さあ……なんでしょう。ユーモアいっぱいの絵本です。

おべんともって
森山京・文
片山健・絵
偕成社
:定価1,260円
(税60円)

土臭い絵、今頃の片山さんの絵は明るい色になりました。おべんともって山仕事をしているお父さんグマのところに行きます。山はすっかり秋です。
どうぶつさいばん
ライオンのしごと

竹田津実・作
あべ弘士・絵
偕成社:定価1,470円
(税各70円)
タンザニアの草原、おかあさんを殺されたヌーの子どもがライオンのおかあさんを訴えます。“どうして殺したのか?”動物たちが見守る中でハイラックスの裁判長はどう判断するのでしょうか?文がちょっと理屈っぽいのが気にかからないでもありませんが、ワイドな考えることの多い絵本です。
★探偵小説と冒険小説、ちょっとドキドキする話、活躍する少年少女たち、昔から変わらぬ 小説のおもしろさです。

少女探偵
サミー・キーズと
消えたゴブレット

ウェンデリン・V・ドラーネン
加藤洋子 訳
集英社
:定価1,680円
(税80円)

このシリーズも3作目になります。
校内放送を勝手に使用したという罰で、教会でボランティアとして清掃していたときに、十字架が盗まれます。サマンサの活躍が始まります。10才ぐらいから。

4と1/2探偵局 1
宝の地図のひみつ

ヨアヒム・フリードリヒ作
鈴木仁子 

ポプラ社:定価1,155円
(税55円)

ベビーシッターをするくらいの優しい男の子カルステン、頭の良い女の子シュテフィとは双子です。森の洞穴で宝のあり場所が書かれている地図を見つけます。
カレとフリートヘルムが加わっていよいよ探偵局の活躍が始まります。9才ぐらいから。

The Buccaneers
闇にひそむ海賊

イアン・ローレンス
三辺律子 訳

理論社:定価1,680円
(税80円)

舞台はカリブ海、密輸船から生まれ変わったドラゴン号に乗り込み、長い旅に出発します。
シリーズ3作目完結編です。霧の中からあらわれた黒い海賊船、スリルに満ちた物語です。12才ぐらいから。

サークル・オブ・マジック
魔法学校再訪/氷の国の宮殿
デブラ・ドイル&
ジェイムズ・D・マクドナルド

武者圭子 訳

小学館:定価1,785円
(税85円)

中世ヨーロッパ、魔法使いになるべく修行のランドル少年、ブレスランドの平和のために仲間と共に戦うのが3巻までの話でした。
ファンの要望に応えての新作です。ブレスランドの平和にしのびよる黒い魔の手、若者になったランドルの活躍です。10才ぐらいから。
呪われた首環の物語
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作
野口絵美 訳

徳間書店:定価1,785円
(税85円)
秋にはジブリ作品『ハウルの動く城』が公開されますが、ジョーンズの作品としてはそんな華やかさはないものの、ケルト伝説をベースに書かれたこの作品はトールキンを師と仰いだジョーンズらしいお話なのではないかと思います。ドリクと巨人と人間の少年たちの愛と友情の物語です。
カバーを取ると美しい装丁があらわれます。10才ぐらいから。
★自分の居場所を求めて自分らしくありたいと思うこと、あなたの一歩はなんでしょうか?


ダストビン・ベイビー
ジャクリーン・ウィルソン作
小竹由美子 訳
偕成社:定価1,470円
(税70円)



タトゥーママ
(ガーディアン賞受賞作品)
ジャクリーン・ウィルソン作
小竹由美子 訳

偕成社:定価1,680円
(税80円)
作者の描く主人公はハンディがあります。身体的なハンディではなく、例えば『ダストビン・ベイビー』の主人公エイプリルは生まれてまもなくゴミ箱の中から見つけられました。
『タトゥーママ』の主人公スターは全身タトゥをしている精神を病んだ母親との2人暮らしです。そんな主人公には肉親でないけれどたくさんの人たちが彼女に手をさしのべます。切ないけれど暖かい物語です。12才ぐらいから。
アナ=ラウラのタンゴ
〜パパの謎を追って〜
ヨアヒム・フリードリヒ作
平野卿子 訳

ポプラ社:定価1,365円
(税65円)
アナ=ラウラは亡くなっている父の姿を見ます。父を探すアナの前に思いがけない事実が……。それは第2次世界大戦の重い出来事でした。
12才ぐらいから。
真夜中の飛行
リタ・マーフィー作
三辺律子 訳

小峰書店:定価1,470円
(税70円)
ハンセン家の女たちは代々空を飛ぶことができます。そしてハンセン家の女たちの世界を握っているのはおばあさま。少女ジョージアはいま自分で自分の世界に飛び立とうとしています。夜空を飛ぶという象徴的なことが読む人の心に語りかけます。
自然の描写が美しい。12才ぐらいから。
バラ色の怪物
笹生陽子
講談社:定価1,365円
(税65円)
トモユキ中学2年生、行動する中学生の会の代表、三上ハルヒコと知り合い、学校だけの世界が新しい世界にと回り始めます……が、その世界は名無しの魔物のいる世界でした。魔物の世界とは!?
夜のパパ
マリア・グリーペ著
大久保貞子 訳

ブッキング:定価1,890円
(税90円)
パパのいないユリア、夜仕事に出かけるママは留守に家庭教師を雇います。その夜のパパとユリアが交代で語ります。夜に咲く花のこと、自分にノーと言うことなど……。
しばらく絶版になっていたのですが、復刊ドットコムの投票でやっと復刊しました。新装丁です。12才ぐらいから。
光車よ、まわれ!
天沢退二郎
ブッキング
:定価2,835円
(税135円)
この本も長く手に入らなかったものがドットコム復刊しました。この作者のシリーズ『オレンジ党の黒釜』を始めとしての3部作など、10月から毎月刊行されます。日本ではなかなか本格ファンタジーの本がありません。その中で善悪二元論は古くなったかもしれませんが、現代でも十分ファンタジーの持つ根本的なものの一つです。光車とは、7人の子どもたちの光車、そして悪との対決、光車よ、まわれ!10才ぐらいから。
★戦争はつくられた物、これらの本をじっと見ていると戦争の無意味さが伝わってきます。
戦争のつくりかた
りぼん・ぷろじぇくと
マガジンハウス
:定価630円
(税30円)
小冊子の型で出されていたのが、関係のある法律の条文や答弁、法律や政令も入って1冊の本になりました。
親子で読み合い、話し合いをぜひ!
世界中の息子たちへ
堤江実 詩
高橋邦典 写真

ポプラ社:定価1,000円
(税48円)
この戦場に若者たちがいます。あそこの戦場でも人が死んでいきます。戦争は殺されるだけでなく、人を殺すことにもなるということです。

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