★1月も半ばを過ぎて新刊が次々と出始めました。
内容もさることながら、絵本は本当に色々な描き方があります。ゆっくりページをめくりながら見てみましょう。

なに たべてるの?
いちかわけいこ・ぶん
たかはしかずえ・絵

アリス館:本体1000円

食べてる音が聞こえます。
“ねぇ、なにたべてるの?”ちょっとブータレネコ(ネコはこうでなくては!)がいい。

ウィルフ きをつけて!
ジャン・ファーンリー作
金原瑞人 訳

小峰書店:本体1400円

ウィルフは元気で力あまってママの言うことなんて良く聞いていません。力あまって失敗ばかり。でも、最後にはママの言うとおりにしました。
見開きいっぱいに絵が展開します。前・後ろの見返しからすぐに本文に入っていきます。色がきれいでネズミの親子の表情が楽しい。
ともだちになって
アレクシス・ディーコン作・絵
いずむらまり訳

徳間書店:本体1500円
宇宙人ピークーの乗った宇宙船が墜落、地球で迷子になってしまいます。ママはどこ?ひとりぽっちは淋しい。
絵はマンガのような描き方です。都会の孤独感がよく出ています。

青い星
谷川晃一
ビリケン出版:本体1600円

コヨーテが遠くで吠えています。空から降ってきた流れ星は白いたまごになってコヨーテに飲み込まれました。けれど吐き出されたたまごは次にヘビに飲み込み……そして……はるか遠くの荒野の話です。
ところどころの抽象化されて描かれたものと青色が印象的です。

はじめのちいさないっぽ
サイモン・ジェームズさく
小川仁央 やく
評論社:本体1400円
三羽のちいさな兄弟アヒルが迷子になってしまいました。一番下の弟はすぐに“もう歩けない”お兄ちゃんアヒルが言います。“はじめのいっぽ!だよ”こんな励まし方があるのです。くじけそうになったら言ってみましょう。“こうやって、まずはじめのいっぽ!”柔らかい黄色と茶色、単純化された絵、そして小さなアヒルのが3羽、ユーモアのあるやさしい絵本です。
てん
ピーター・レイノルズ
谷川俊太郎 訳
あすなろ書房
:本体1300円
アニメーションのような絵とリズムにのった訳文。世の大人、特に親や教師、それに自信をなくしているあなた、必読の絵本です。
本の中の文字も絵にぴったりで、改めて絵本の中の文字は絵のうちと思います。
鹿よ おれの兄弟よ
神沢利子 作
G・D・パヴリーシン絵
福音館書店
:本体1700円
細密に描かれた動物や植物、墨絵のような背景の山々や月、大型な画面 いっぱいに描かれたその中を、男が船に乗ってゆっくり進んでいきます。
人はこのようにして生きていた、それともやがて人はこの男のように船に乗って彼岸に渡っていくのかもしれない。祈りに満ちた絵本です。
絵で見るナイル川ものがたり
〜時をこえて世界最長の川をくだる〜
スティーブ・ヌーン

アン・ミラード文
松沢あさか訳

さ・え・ら書房
:本体2200円
ナイル川は全長7,000キロほどで世界最長の川です。ただ長いだけでなく、エジプト文明を生み、帝国の興亡に関わってきました。
時と川の流れに沿って物語は展開されます。人々の生活から自然が細かく描かれています。
読み物は相変わらず、魔法とかにぎやかな本にそろそろ飽きてきた人もでてきたようです。その反動もあるのかもしれませんが、地味な本の出版もあります。

しあわせいっぱい荘に
やってきたワニ

アーシュラ・ウィリアムズ さく
吉上恭太 やく
堀川理万子 え

福音館書店:本体1200円

ジョニーは船乗りです。海から戻って暮らしている「しあわせいっぱい荘」にはミネアポリスさんという大家さんがいて、おいしい料理と花でジョニーを幸せにしてくれます。ある日ジョニーはミネアポリスさんに何とワニのおみやげを連れてきたことから大変なことが起こります。
ユーモアがあってちょとハラハラさせられ楽しい物語です。挿し絵が文にぴったりなのも嬉しい。7才位 から。

サンバードのくる
タマル・ベルグマン
柳田昌子・熊谷清子 訳
藤田裕美 絵
冨山房インターナショナル:本体1200円

アーロンは3年生、むかし兄さんのベビーシッターだったイナおばさんと仲良しで、イナおばさんが野鳥に エサをやる手伝いが上手くできるようになりました。その鳥の中のサンバードは夏休みの頃、渡りから帰ってきます。“サンバードよ。早く帰ってきて!”
サンバードと一緒にアーロンも成長していきます。幼い男の子の気持ちがよく描かれています。10才位 から。

BAD BOY
バッドボーイ
ウォルター・ディーン・マイヤーズ
金原瑞人 訳

小峰書店:本体1600円

マイヤーズの自伝的小説です。ニューヨーク市マンハッタン区セントラルパークの北側にハーレムがあります。1945年小学校4年生のマイヤーズはお母さん子の甘えん坊、発音障害があるために馬鹿にされることもあり、元気でいたずらっ子なのは良いけれど、けんか早くて乱暴者、そして黒人差別 など成長するにしたがって挫折と家庭崩壊の中で自分を見失ってしまいます。その中でマイヤーズを支えたのは「書く」ということでした。15才位 から。

ザッカリー・ビーヴァーが
町に来た日

キンバリー・ウィリス・ホルト
河野万里子 訳

白水社:本体1700円

『時は1971年の夏、テキサス州アントラーという普通 の街に世界一太った少年ザッカリー・ビーヴァーがやって来た。ザッカリーは体重292キロの少年、狭いトレーラーの中でテレビを見ていて、ぼくたちはお金を払ってこの見せ物を見物するというわけだ』
トビーは13才の少年です。このことがあってから、トビーは不仲な両親のことや痴呆老人のこと、友だちとの仲違いなど色々な経験の中で成長していきます。最後のキャルの兄ウェインからの手紙が胸を打ちます。
『〜キャル、でもこれは本物の戦争だ。そしていまはおまえはけっしてここに来たがってはいけないと断言できる〜』
ベトナムで死ぬ少し前のウェインからの手紙です。15才位から。

やあ、アンドレア
〜ある「父と子」の風景〜
マルチェッロ・アルジッリ作
よしとみあや 訳

さ・え・ら書房:本体1400円
ジャーナリスト「わたし」の前に突然どこともなく少年が現れます。アンドレアという名の少年はある時は強制収容所、ある時はナパーム弾が炸裂するベトナム、シチリアの労働、などアンドレアの話は体験なのか妄想なのか。そしていつの間にか私はアンドレアの父親に、良き父親になりたいと思います。
若い人はこんなふうに自分が大人になることに悩み思っているのでしょうか?15才位 から。
人魚の涙 天使の翼
フランチェスカ・リア・ブロック
金原瑞人・小川美紀 訳

主婦の友社
:本体1300円
完璧な母親、お互いに深く愛し合っている両親の間に居場所を見つけられない少女エコーはある日、背中にぼろぼろの翼の残骸をくっつけた不思議な少年に出会います。
エコーから始まっての短編連作のような構成になっています。ひりひりするような青春の物語と父親の死をめぐっての愛の物語です。15才位 から。
大あばれ山賊小太郎
八雲国の大合戦

那須正幹 作
小松良佳 絵
偕成社
:本体1200円
シリーズ3巻目、小太郎たちの隠れ里に逃げてきた村人たちは国一揆を起こそうとしていました。小太郎たちも一緒に立ち上がります。
痛快時代小説です。10才位から。
バーティミアス・
サマルカンドの秘宝

ジョナサン・ストラウド
金原瑞人/松山美保 訳
理論社
:本体1900円
ハリー・ポッターもダレン・シャンも今はちょっとお休み。代わって書店にはこの本が山積みにされています。ハリー・ポッターに近い物語ですが、学園ものではなく、まだ修行中の少年に呼び出されて、少年の命令に従わなければならない妖霊のバーティミアス、その両者から交互に話は進められます。
その間の駆け引きが面白いのですが、やはり娯楽性の強いスピード感のある物語ですから、気楽に読むことが出来ます。(各ページに付いた注を面 白いと見るか邪魔と見るか?)10才位から。
クリスピン
アヴィ
金原瑞人 訳
求龍堂
:本体1200円
本当は正当な扱いを受けられるはずの少年が権力に翻弄される話で、古典的な物語の本です。
執事に殺されそうになった名前のない、ただ母親の名前からとったアスタの息子と呼ばれる少年を助けてくれた熊の不思議なキャラクターは十分に興味深いのですが、装幀も含めてもっと軽い感じの本でも良いのではないかと思います。(金・銀・黒を使った装幀は合わない?)2003年ニューベリー賞大賞の作品です。12才位 から。
魔法の声
コルネーリア・フンケ
浅見昇吾 訳
WAVE出版
:本体1900円
メギーの父モルティマは本を補修する仕事をしていて登場人物をこの世に呼び出す魔法の声を持っています。9年前事故で呼び出した人物と引き替えに母親が物語の世界に入ってしまいます。メギーはその“闇の心”に連れられ、悪に向かうことになります。中に「指輪物語」も含めてたくさんの本がでてきます。(最後はセンダックの『かいじゅうたちのいるところ』)
面白いのですが、フンケの作品はちょっと教育ぽくてと言う人もいます。装幀や挿し絵は、あまりにも佐竹美保さんが多いものだからこの本の齋藤知恵子さんに期待!
真夜中の鐘がなるとき
地獄の使いをよぶ呪文
魂をはこぶ船
オトフリート・プロイスラー 作
佐々木田鶴子 訳
スズキコージ 絵
小峰書店
:本体各1300円
プロイスラーの昔話の2・3巻が出ました。先月紹介した1巻も含めて、ちょっと不思議な昔話集です。グリムのお話集に比べてもっと土臭く庶民的です。コラージュを使ってのスズキコージの絵がぴったりです。

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