★ユーモアいっぱい

たこのだっこはてとてとて
レミー・シャーリップさく・え
きむらみか やく
徳間書店:本体1700円

この絵本は絵言葉遊びの絵本、表紙から見返しから本文から隅から隅まで、見ても良し、唄っても良し、何倍にも楽しめる絵本です。思わずたこになって踊ってしまいました。
それにしても、日本語にするのに大変だっただろうなぁ!
セルコ
〜ウクライナの昔話〜
内田莉莎子 文
ワレンチン・ゴルディチューク絵
福音館書店:本体1400円

お話はちょっと『泣いた赤鬼』に似ているが、あんなお涙ちょうだい式には終わらない。
オオカミに助けてもらって作戦成功、犬のセルコはお百姓に大切にされます。そのお返しに結婚式にそっとオオカミをテーブルの下に入れてご馳走を分け、お礼をしようとします。オオカミはすっかりご機嫌で大声で歌ってしまいます。
オオカミと犬の表情が大変楽しくおかしい。大型の絵はユーモアと力に溢れていて、新学期で緊張気味の子どもたちに是非読んでやりたい。

なんでもはかせのプーセンガム
舟崎克彦ぶん
長新太え
瑞雲舎:本体1200円
早く言えば「おなら」の本です。
科学的なところもあるけれど、ナンセンス物語です。(科学の本では「おなら」長新太さく福音館書店がある。)
ただ、ナンセンスとはいえ、言葉の使い方があまりにもおふざけworldなのがちょっと残念。
小学校1年生ぐらいから。
★ハッキリと意志を持っている子どもたち
おやすみクマタくん
カズコ・G・ストーン
福音館書店:本体743円
8時になりました。“クマタくんねんねのじかん”“いやだねむくない”“まくらがにげていきますよ”“いいよ、ぼくまくらなんていらない”
クマタくんのまくらも、毛布も、パジャマもベッドもみんな空に飛んでいって……それでもクマタくんは“イヤ”と言います。
ここのところがよくある日本のおやすみの本と違うところ。絵もクマタくんの意志のようにハッキリ描かれています。可愛いのだけれど甘たるくない表現の仕方です。
最初のクマタくんがイヤだと首を振る描き方は面白い。
キスなんかしないよ!
フィリス・ルート文
ウィル・ヒレンブランド絵
こだまともこ訳
徳間書店:本体1500円
広い野原の真ん中の大きな家にアンナリーサという女の子が住んでいました。アンナリーサはとても元気で頑固でなかなか人の言うことを聞きません。
ところで、牧場にはルエラという魔法の牛がいます。魔法の言葉を歌ってキスをすればたくさんのミルクを出してくれます。アンナリーサは気持ちが悪いからとキスをしません。絶対に……ルエラのミルクは出ません。
牛の優しい表情ととんがったアンナリーサの表情が良い。
ビリー・ジョーの大地
カレン・ヘス作
伊藤比呂美訳
理論社:本体1500円
1934年大恐慌、干魃とイナゴの害でアメリカ、オクラホマの大地は荒れ果 てていた。父親のちょっとした不注意と少女の勘違いから、母親も生まれてくるはずだった赤ちゃんも死なせてしまう。真実を語らない父親と生活に絶望した少女は家を出る。
この詩みたいな日記みたいな特異な文体を持った物語をアメリカに住んでいる訳者は13才と15才の娘に下訳してもらったところ、あまりにも瑞々しいその日本語に目が眩んだとのこと。文体だけでなく、著者と訳者の感性が一体になり、非常に豊かなイメージを生み出したからに違いない。
1998年度ニューベリー賞受賞作品。中学生ぐらいから。
★科学の本
モグラのもんだいモグラのもんく
かこさとし作
小峰書店:本体1300円
このシリーズも6冊目になりました。
かこさとしの本は科学の本でも物語性があり、幅が広い。この本もモグラの生態から環境問題まで独特の絵が語る細かい絵で描かれている。
モグラの手と鼻はピンク色で大きく、毛皮はツヤツヤしていてきれい。
ハリネズミがモグラの仲間だなんて知らなかった。
食べもの記
森枝卓士
福音館書店:本体3400円
世界は広いのか狭いのか?
例えばお米一つとっても、日本と同じような国があり、一方違う国がある。改めて「食べる」ということの文化に驚いたり感心してしまった。
この本は食品だけでなく、市場から台所、そして食べるということまで20年以上かけて撮った写 真集である。音から匂いまで本の中から飛び出してきそう。改めて人間って多様で面 白い。
★児童書ではないけれど
シェイクスピアを盗め!
ゲアリー・ブラックウッド著
安達まみ訳
白水社:本体1700円
ヤングアダルト向けの本は最近充実してきているが、内面 の成長を扱った本が多い。どうしても少し重く感じられてしまうが、この本は久しぶりにともかく理屈抜きで楽しい本だ。
400年前のロンドン、その頃芝居の台本は大変価値があり、当然お金になった(つまりそれだけ人気があったということで、日本で言えばさしずめ江戸時代の様子だろうか。)台本を盗んで儲けようとする人がいる。
売れっ子作家(時には役者にもなった)シェイクスピアの台本を盗む羽目になった孤児の少年ウィッジの冒険痛快小説である。
実在の人物がたくさん出てくるのも興味深く面白い。
15才ぐらいから。

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