
■会留府のこと〜2005年5月〜
ドビアス版の『ちびくろさんぼ』が出版された。差別のことで絶版になった岩波書店のあの『ちびくろさんぼ』だ。時々懐かしいこと、ありませんか?復刊するなら欲しいと言われた本だ。 新聞によると4万部の予約があり、あと1万部追加発行したとのこと、今度発行した出版社は地方小出版流通センターの扱いなので、普通の流通とちょっと違う。そこへは月に3回ほど行くのだか、客注があったので予約をいれた。一応発行されたものを見て判断し入れる会留府なのだが、本を見ないで発注するという異例なことになった。前の岩波書店発行のものは知っているし、持ってもいるのでという気持ちもあった。 この本が絶版になった本だということについて、いま、ここに書こうとは思わない。ただ、この岩波版はドビアスの絵だということを知らない、または思い違いをしている人がかなりいることと、絶版になった時のことを知らない年令層の人が多くなってきていることから、その理由などをかなりの人に聞かれた。社会は動いているので、こういう問題は常に検証していかなければならないと思った。(いま話題のアジアの国々への戦争責任の問題もそうだと思う) ところで、届いた『ちびくろさんぼ』を見て思わずあァ!中のお話は変わらない、2つ入っていたのがトラがバターになって、それでパンケーキを焼いて食べたというお話のみだけれど。訳者もかわらず、表紙の赤いあの本だ。けれど、絵の感じがひどく違った。ベタっとした品のない?本になってしまった。 トラのバターは肥やしに見えるし(そういった子どもがいた)パンケーキを食べる場面はおいしそうで ない。主人公のさんぼは頭も顔も身体ものっぺりと黒く、ぺったりとした色彩のために素朴さがなくなり、いきいきとした表情が感じられず、楽しそうでなくなってしまった。使われている紙が真っ白で上質紙なので色が強く印刷されてしまっていること。また、原画からおこしたわけではなく、印刷された絵本から版をおこしたのではないかと思われる。コピーのコピーはきれいにならないのは経験済みのことだ。 やっぱり絵本は手にとって見なければわからない、自分自身の目で見て、自分の感性でみなければわからない、あらためて強く思ったことでした。 |
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