■会留府のこと〜2003年1月〜
会留府は仕事柄3月が年度の総決算みたいな性格があります。学校も行政も4月から3月までが1年の単位
になるからです。けれどやはり新しい年、2003年になっての2002年に感じたことなどをお話しようと思います。
いろいろと囁かれながらも児童書の分野では倒産という不幸はありませんでした。ハリポタ現象というのだそうですが、ともかくうんざりする位
の量が出版されて、帯に関連があるような宣伝文句が入っていて見苦しい程でした。全体的に不況の状態というより不安感が強い、それは売りのがしてしまうと1年在庫を抱えなければいけないクリスマス商品のような季節物の本の新刊が、少なかったことに良く現れています。
出版社は安定指向である程度売れると見込まれる本しか出版しない、新人作家にとっては辛い年になりました。だからかもしれませんが売れっ子作家があちこちの出版社から本を出す、言葉をかえると出版社のカラーがなくなってきています。
例えばサトクリフ、彼女の作品は岩波書店から出版されていたのですが、原書房、ほるぷ出版、小峰書房、そして年末には評論社と次から次へと出版されました。大変意欲的な出版社もあり、読者にとっては嬉しいことです。
このことは、一方では今まで一定の信頼をもっていて、著者や出版社名で選んでいた本も自分で見てみないと解らない、(これは特に絵本の分野に多いように思いますが)“F出版社もE出版社もどうしてこんな本を!”と思うくらいのキャラクター本を出しました。
また、タマゴとニワトリの関係ではありませんが、テレビとビデオ、本という関係づけた売り方と買い方も多くなりました。朝の6時に発売して並んで買う、(終戦後の岩波の本ではあるまいし)広告宣伝をかけて大量
に売り出し、その特定なものが大量に売れる、これも従来の児童書という狭い分野では考えられないことでした。
読むというより持っていること、人より早く手に入れるというスタンスがもてはやされる、本はゲームやカードと同じになりました。学校も図書館も利用があるということだけで、どこに行っても金太郎飴のようです。もちろん書店も。それがどんな本でどう工夫したら子ども達に手渡すことができるのか議論もなく展望もなく、忙しいから予算がないからと決められていきます。
効率化と有効化、人生にムダはゆるさないとおとな達は叫びます。同じ本を、同じ速度で、同じ方法で読む、そして、同じような結果
がでることを期待する。「声にだして読む〜」ということが流行になれば犬も猫も人間も“声にだして”という大合唱を聞くと、どっと疲れがでるような気がします。
日本人はいつからこんなにおしゃべり になったのでしょうか?いつも、いつも、歩いていても、お風呂にはいっていても、トイレでも、寝ていても(?)ケイタイを持っておしゃべり、そして“疲れた、癒されたい!”と誰もかれも、小さな子どもまでが言います。
良いとか悪いとかの議論の前に日本の子ども達の生活は完全にアメリカの消費経済のなかにすっぽりはまってしまっていることを、あらためて思った1年でした。
私達は今年も“自分探し”を漂流し続けるのでしょうか。自分はここにいて、ここにあって、そんなことを気づかさせてくれるのも本を読むことで見つけられる。
今年も考え、考え生きていきたいと会留府一同の思いです。
|