■会留府のこと〜2001年4月〜


東京に近いとはいえ、地方都市の片隅で専門店を営業し続けてきて23年、一度も広告を出したことはありませんでした。

小さな店である程、存在をどうやって知っていただくかは営業としては大切なことですが、広告するにはお金がありません。店に初めて来店される方は昔も今もほとんど口コミです。

時々、突然一日に何件も電話がかかることがありますが、それは雑誌などで取り上げられて“どう行ったら良いですか?”との問い合わせです。また、そのほとんどの方が取り上げられた本の紹介の切り抜きを持って、“この本ありますか?”と訊ねられます。

突然なので用意しておくわけにもいかず、あるものはあるし、ないものはないという決まりきったお答えしかできません。不思議なことに“取り寄せることができます”とお答えしても“いいです”と言うお返事が多いのです。店では発送もしていますし、発送料は安いのですが……。

マスコミの影響は大きく、しかも近年目立って感ずるのは、「うちの子大好きです!」「うちの子読んでいます!」というような取り上げられ方の本を聞かれることが多いことです。

有名人が紹介してもあまり影響がありません。
図書館の司書の方の紹介の本もあまり売れません。

ところで新聞といえば、開店したばかりのある日、取材がありました。朝日新聞社千葉支局の記者の方でした。

以後、何度か朝日新聞のみならず、毎日新聞、サンケイ新聞の記者の方が来店されて何人かの記者の方とのおつき合いが続きました。皆若くて、中には新卒の新聞記者ホヤホヤの人もいました。

そして、その頃の記者の方はよく街を歩いていたように思います。記者クラブや警察だけ行っていたってダメなんだとデスクに言われたという話もしていました。今は電話で取材を受けることが多くなりました。昔に比べてスマートで優等生の記者が多くなったようにも思います。

時々地方版に載って新しいお客様がみえ、宣伝力のない会留府にとって、それは大変ありがたいことでした。新聞には地域の文化を育てようという意気込みがあり、彼等、彼女らとはよく本の話や図書館の話をしました。

このことは新聞記者だけでなく、教師や、図書館の人(司書だけでなく)にも言えます。みんなおとなしくて良い人なのですが、エネルギーがあまり感じられない人が多い、疲れていて、忙しくて、できればこれ以上の仕事はかかえこみたくない、なるべく無難にそつなく生きていきたい。

子どもが本を読まなくなったという合唱を聞くたびに、私はそういう大人の顔が目にちらついてしまいます。

5月からのこのページは今の会留府のことを伝えていきたいと思っています。