■会留府のこと〜2001年2月〜


夫婦2人だけで店を切り盛りできなくて、お手伝いの人に来てもらうようになったことは以前にも書いた。

その1期生ともいうべき2人は、その頃、店の近くにあった大字寮に入っていた彼女達だった。2人には店の細々とした仕事をしてもらっただけでなく、始めていた「読み聞かせやおはなし」もしてもらった。

私たちも若かったし、皆で良くしゃべり、良く笑い、良く勉強(?)もした。その2人に今回は登場してもらうことにした。

私と会留府の出会いは開店まもない頃だったと思います。

中学生の頃からやっと子どもの本を読み始めた私は、子どもの本好きに足を突っ込みかけたところで、お店に行くたびに、阿部さんにアドバイスしてもらうのがとても楽しくて、暇な学生だった私は、ただおしゃべりに寄るということもしばしばでした。

そのうち土曜日(だったと思います。)の絵本の読み聞かせをさせてもらったり、お店番をしたり、夕方の読書会に参加したり……と、楽しい時間を過ごし一段と子どもの本好きに拍車がかかっていった気がします。

大学の4年になってから、ストーリーテリングの勉強にも声をかけてもらい参加しました。大学を卒業した時点で千葉から離れてしまったので、今のお店には一度も行ったことがないのですが、いつかはと思っています。

学生時代に色々ときっかけを作ってもらい、実は今、学文おはなし文庫というところでストーリーテリングや絵本の読み聞かせなどをしています。

あの頃買った『おはなしのろうそく』や『イギリスとアイルランドの昔話』(私のは『イギリスの昔話』ですが。)が多いに役に立っています。

また、今回本を増やすということでみんなで選書したのですが、文庫の中では若手の私でも、少しぐらいは意見を言えるのは、会留府との出会いがあったからだなと思っています。

兵庫県と遠く離れてしまっているのですが、HPで会留府のことをこれからも見ていきたいと思っています。

(片山淑美)

大学から一駅離れた稲毛に会留府はありました。

大学の友人から「子どもに読み聞かせするアルバイトがあるよ。」と誘われ、秘かにNHK教育、お話のお姉さんになりたいと思っていた私は土曜日の午後、ドキドキしながら通 い始めました。

大学何年の時から伺ったのかぼんやりしてしまいましたが、会留府に伺ったとき、店に置いてある本が全て幼児・児童の本ばかり、そしてどの本を棚から手に取っても会留府のおばさんが、その本はこんなところが素晴らしいと、話してくれる。どの本を取ってもですよ。……すごい!と思いました。

一週間に一度のアルバイトが何年間。とても大切な時間でした。

1回に読む本は絵本が2冊ぐらい。前の週に選んで練習するのですが、いつも読み聞かせの時間になると来てくれる常連の小さなお客さんがいて、練習が足りないと本当につまらなそうに、あっち向いたり、こっち向いたり。彼の表情を見ているだけでその日の出来が分かり、次はしっかり練習してこようと思ったものです。

ある日、選んだ本が言葉遊びの本で、雨と飴のイントネーションの区別がつかず、今は少し分かりますが、その頃は故郷の仙台を離れたばかり。仙台はイントネーションがないらしく、本当に困りました。

その本を読んでいる本人も読んでいるうちにゴチャゴチャになってきて、子どもたちが笑い出す始末でした。今でも時々、雨の日、その日の“あめ”を思い出す。良い思い出です。

会留府は岩波文庫の『小さなおうち』という本の“おうち”のように、とてもかわいい、誰でも受け入れてくれるような温かいお店で、一人暮らしだった私にとっては会留府のおじさんとおばさんに会ってお話しすることが何よりの心の栄養であり、よりどころだったように思います。

(栢原弥生子)