■会留府のこと〜2000年6月〜


今になってみると、私たちの開店準備はずいぶんと無謀だったように思います。

知人・友人もほとんどいない、お金もほとんどない。(これはいつまでたっても変わりませんが。)何かのセリフではないけれど、あるのは若さと元気と度胸だけ。

当然ながら私達のまわりのみんなが商売、ましてやどうやってももうかりそうもない子どもの本の専門店を始めることに大反対でした。

最初の所も、今の所もすぐそばに公共図書館があります。このことも、とても不思議がられます。“図書館の近くに本屋とは、本が売れないのではないですか?”……と。

私達は子どもが本を読むようになるのには、大人の手助けが必要で、図書館を利用する大人はきっと私達の店ものぞいてくれると思っています。

そんな大人が増えることが、本を読むことの好きな子どもが増えることだと思っています。

そして、相変わらずお客様に言い続けています。

“子どもの本って面白いし、楽しいでしょう。こんな世界を知らないで一生を過ごすなんてすごくソン。どうぞあけてみてください。なんだったら図書館へ行ってとりあえず借りてきて読んでみて下さい。何を読んでいいか分からなかったら図書館の人に聞いてみて。もちろん、会留府に聞いてくださるのも大歓迎です。それで子どもが何回も読んだ本は宝物だから会留府に買いに来てね!”

子どもの本離れがいわれていますが本当でしょうか?それよりも、子どもを取り巻いている読書環境がどんどん貧しくなっているように思われて仕方がありません。

私達は戦後すぐに生まれ育った世代なのですが、その当時の家庭には子どもの本はほとんどありませんでした。

けれども、学校図書館は今以上に充実していて、教師たちも良く本を読んでいたしまわりにはお話をしてくれるお年寄りがいました。

読書が好きになったという理由に、学校図書館で本を読む事を知ったと答える人は少なくはありません。特に家庭が貧しかったり、親やまわりの関心が薄い中で育った人にとって大きな力がありました。

先日、子ども図書館開館の記念フォーラムの中にも、いわゆる先進国では読書以外の情報産業などが発達して、そのために子どもたちが本を読まなくなったという事がいわれたようですが、少なくとも先進国といわれているはずの日本では、子どもを取り巻く読書環境は以前より貧しくなっている、本を読む事を楽しみと思う大人は増えているとは感じますが、また、本当に無関心な大人が多くなっているのではないか、ここでも二極化がどんどん進んでいます。

“会留府へどうぞ。楽しい本をたくさん紹介しますから”そう言い続けながら21年がたちました。